一週間ぶりの南浦和

 ほぼ一週間ぶりに南浦和さいたま市文化センター大ホールに向かう。行きがてらにあるセブンイレブンが閉店になるようでちょっとさびしい気分。


山本教子バレエスタジオ 第15回発表会

 山本教子バレエスタジオの発表会が開かれた。若いバレリーナたちは日ごろの活動の成果を発表し、豪華な男性ゲスト陣は男の様々な魅力を舞台いっぱいに披露した。
 それぞれの踊り手たちの世界を大切にしながら優れた世界を描きだす作品が何より印象的だった。「ジゼルよりペザントのグランパ・ド・デゥ」で踊った高松宇咲と塚田渉はともに純真な踊り手としての味わいを重ねあうように踊っていたし、「ドンキホーテよりグランパ・ド・デゥ」は中島由貴と長瀬伸也が颯爽と描いた。2作品ともお互いの息のあった演技が的確な表現を可能にした。ゲストの華麗な世界を見事に用いた作品も多い。「リーズの結婚よりグランパ・ド・デゥ」では八幡顕光のシャープなムーブメントが映える。八幡は静かな表情を持つ官能的な男性だ。清らかな中島瑠美は男の持ち味を見事に引きだした。「海賊よりグランパ・ド・デゥ」で優れた演技をみせた菊池研は異色の美形ダンサーだ。中太佐綾はこの艶やかなパートナーと詩人バイロンによるロマン派の世界を明るく踊りぬいた。女性舞踊手たちはそれぞれの持ち味を育むことが大切だ。さらに印象深かったのは「フロリナ王女と青い鳥のグランパ・ド・デゥ」だ。京當侑一籠の細かい描写と岡部麻美と軽やかな踊りは観客から喝采を浴びていた。コンテンポラリー・ダンスでは「双子座」(振付 志村昌宏)が目立った。天空から大地を照らす光のラインの中で肉体たちが連なりあう。矢嶋美紗希と相羽源氏のムーブメントはモダンダンスにも通じる振付世界だ。子どものバレエ「Kids Land」は可愛らしい作品だった。さらに練り上げることで芸術性を与えることも出来る作品であり、子どもためのアートとしての視点も重要になるだろう。
くるみ割り人形よりクララの夢」では見事な舞台美術が印象的だった。くるみ割り人形を演じる菊池の活躍とクララを演じる辻村有紀の清純さが見事だ。さらにチョコレートに挑戦した京當の明るく朗らかな踊りの表情、金平糖の精を演じる正木聖子と後藤雄基のコンビネーションも際立っていた。若いバレエダンサーたちにとっては様々な舞台で活動するスターたちの個性や技が大きな刺激となった公演だった。
首都圏に近い地域性、情報やフットワークを活かしながら最先端の情報をチェックし、同時に地域にバレエや芸術文化を根づかせていくことが重要だ。これからの試みに注目したい。



さいたま市文化センター 大ホール)