『舞踊批評の肉声:吉田悠樹彦初期芸術評論集(2002-2022)』

「舞踊批評の肉声」表紙

 

◆各界から寄せられた推薦・コメント

吉田悠樹彦著『舞踊批評の肉声』を読む」

西田敬一

 

 踊りをみる機会はあまりないし、この評論集に書かれている舞踊家についてもほとんど舞台をみていない立場で、この著作について何かを述べるというのは正直おこがましいのだが。

この書物の第1章は戦前、あるいは戦後間もない頃に生まれ育った著名な舞踊家へのインタビューで編まれていて、踊りをこころざす人々には垂涎のエピソード満載といったところ。彼らが活躍した時代の特徴もあるだろうが、当時はさまざまなジャンルとの交流というよりも、身体・肉体を踊りの枠のなかだけで追求するのではなく、あらゆる方法で身体・肉体の可能性あるいは限界にチャレンジし、美術で言えばネオ・ダダ的な表現を追求していたのではないだろうか。この第一章に登場する舞踊・舞踏家と一緒に活動していた人々で、今なお現役で活動している、多くのダンサーは、多分、今はそうした前衛的とも言える踊りからは距離をとって、演劇的、美術的表現には頼らずそれぞれの踊りの独自性を追求しているように見受けられる。それはなぜだろうか。

一方、第2章インタビュー〜舞踏家達との対話〜に出てくる1976年生まれのDohriki(動力)という舞踏家は、新しいジャンル越えの芸術家として活動しているようだ。実は、この書物のp219に出てくる写真を見て驚いた。なんとふんどし姿のDohrikiとまさしく首を括った首くくり栲象さんのツーショットの写真が掲載されている(2008年10月『肉体の大バーゲンセール』)。しかも栲象さんが「30年間いろいろなことをやってきたけど、これしか残らなかった」とか語っていた話まで掲載されている。これは、僕にとってインパクトのあるエピソード。

多分、この書物を読めば、多くの人々がアレっと感動するそれぞれのエピソードを発見できると思えるのだが。

ところで著者は「この書籍を読了し、若い舞踊評論家が現れるなら、お問い合わせていただければ幸いである。私は全力でサポートすることを約束する」と、あとがきに記している。   

私もまた、これを機会に若い人々の舞踊批評を目にして、この書物との比較ができればと期待するところだ。

 

にしだ・けいいち NPO法人 国際サーカス村協会代表

シアターX(カイ)国際舞台芸術祭実行委員

 

戦後の日本洋舞界を支えた批評家やアーティスト達の人間模様を鮮やかに映し出すは…舞踊史の裏社会 アーティスト達のインタビューも面白い…

三浦一壮(舞踏家)

 

「開かれた舞踊の肉声」

この本の文字が声となって聞こえてくるようだ。そのリズムはダンスとなり新しい総合知と云いたくなる。著者の吉田悠樹彦氏が足を運んで立ち会った現場からの言葉は、あらゆる芸術の分野を縦横無尽に駆け抜けた体感があるのだ。その躍動を支える優れた批評精神は血肉となった教養であり、次世代に届く開かれた肉声だ。この類を見ない垂涎ものの一冊を先ずは手に取ってほしい。

池宮中夫(ダンサー・振付家・美術家、Dance Company Nomad~s主催、Brick-one主催)

 

「舞踊の歴史を紐解く渾身の一冊。この中でしか語られないような貴重なインタビューもあり。これだけの量と質にとにかく感服しました。」

山本 裕(ダンサー、振付家、アートディレクター)

 

吉田さんの長年の仕事がついに一冊の本になりました。丁寧な仕事ぶりに感動しました。

金安顕一(「中南米マガジン」)

 

◆舞踊批評の肉声:吉田悠樹彦初期芸術評論集(2002-2022)

¥2,500 税込

 

ダンスやパフォーマンス、身体表現に関心がある方々にはガイド的に使えるところもありますし、独創的な実演家たちの生き方や肉声は映像や美術、音楽にもヒントになります。ダンスのみならず芸術評論として映像や美術に関する評論も収録しました。東日本大震災なども登場し21世紀の指針となります。東日本大震災アジア・太平洋戦争など現実社会との接点も登場し21世紀の指針となります。

現代・戦後のダンス界を代表する優れた表現者たちを上手に紹介しました。60年代から70年代の代表作家たちと21世紀へのリンクも示されます。

 

◆書籍の目次と詳細

 

『舞踊批評の肉声:吉田悠樹彦初期芸術評論集(2002-2022)』

吉田悠樹彦・著

四六判並製 386頁 定価(本体2,500円+税) 発行所:株式会社彗人社 デザイン:小笠原幸介 企画・責任:吉田悠樹

ISBN 978-4-909468-05-5  C0073

 

目次

第一章 

人物評論

雑賀淑子─戦後フランスのバレエから勅使川原三郎

三浦一壮─南米に舞踏をもたらす

及川廣信─パフォーマンスへの水脈、マイムから舞踏、バレエ

山田奈々子─そして現代詩との交流、審美の舞踊家

横山慶子─福島の浪江町に最初のスタジオを立ち上げて

河上鈴子─日本のスペイン舞踊のルーツで南米でも踊る

与謝野晶子と永田龍雄、そして和辻哲郎―スミルノワ・ロマノフの帝国劇場公演からアンナ・パヴロワの来日へ

 

第二章 インタビュー

尾上菊音、中村祥子、Dohriki(動力 )

 

〈次代を担う若手舞踊家 インタビュー>

高田茜、瀬島五月、飯島望未、池田美佳、川村真奈、山本裕、Tarinof dance company(坂田守、長谷川まいこ=主宰)、川村美紀子

 

第三章 

評論集震災後の東北から─横山慶子/モレキュラーシアター 他多数

 

 

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