追悼 千賀抄織

 電話口で聞かされたとき、痛恨のニュースだった。私の舞踊批評家としての活動の中で最も思い出深いバレリーナの一人が他界をしていた。50年代に横井茂・高橋彪という二代振付家の時代が存在した。60年代になるとそこにさらに厚木凡人や今の大御所たちが登場してくる。
 最後の時期の高橋の作品でプリマを踊っていたのが千賀(鬼塚)抄織だった。私よりちょっと年上だったのだが昨年6月にこの世を去っていた。高橋のおそらく最後の作品で負傷をしたこともあり、復活を願っていたダンサーの一人だった。最後の頃、千賀はバレエのことを多く電子メールに書いていたとある関係者は語る。千賀はナイーブでありながら純粋な志を持っているバレリーナであった。長身でよく通る声の気心の優しい踊り手で舞台の上では高橋のシャープなムーブメントを吸収をしてスパークする姿が印象的だった。私のこのBlogを読んでくれていて、私が”今朝は久々にバレエの稽古をした”という記述に対してヴィヴィッドに反応を返し、一緒に踊ろうといってくれたような快活でピュアなアーティストだった。千賀のことを高橋彪は自身にとって最大のダンサーだったと語る。(下記HP参照)ここに追悼の意味を込めて短文を記しておきたい。あの世でいつまでも踊り続けていてください。

舞姫の 胸には永遠に 蒼き夢 (遊彦)
(2008-08-27)


千賀が出演していた最後の作品「椿姫」について:
何方かこのバレエを上演して下さい
創作バレエ 「椿姫」 ・・・ 高橋彪振り付けによる

作品データ:
創作バレエ
椿姫
振付:高橋彪 曲:サン=サ-ンス、ピアノ・トリオ、第1、第2より
2004年12月27日初演、 俳優座劇場, 上演時間、約38分
1幕4場2景
1場・・・マルグリットの居間
マルグリット、G伯爵、アルマン
2場・・・パリ郊外アルマンの別荘
マルグリット、アルマン、アルマンの父デュヴァ-ル
3場1景・・・パリの賭博場
マルグリット、G伯爵、アルマン、3名のマルグリットの女友達
2景・・・マルグリットの病間
マルグリット、アルマンの父、アルマン

http://www.ab.auone-net.jp/~studio5/

上のページで引用されている公演評は
吉田悠樹彦,「高橋彪プレゼンツ=千賀抄織バレエ・スペース」(音楽舞踊新聞,音楽新聞社 2005/2/21)です。
(2008-11)