全日本バレエ・コンクール 決勝

 日本人の体格が戦後と平成を比較してみると非常に良くなったと言われる昨今だが、次世代を担うダンサーの身体性や表現力の伸びは著しい。戦後から現代にいたるまでの蓄積や社会成長が背景にあるのだが、今日の島田衣子・西田佑子に続いて出てくるであろう新世代の才能たちの飛躍が楽しみだ。数年前に東京新聞のコンクールで2000年生まれのダンサーが出ていたのに驚いたことがあるが、今の10代後半のダンサーたちは2010年代以後を大きく彩っていくことになる。90年代頭と情報インフラから社会制度まで大きく変化した今日だが、日本社会のさらなる発展とともに活躍をしてくのは彼らだ。(彼らが70歳ぐらいになるのは2060年前後である。)

 シニアの部の1位は予想通り金田洋子が入った。金田はほっそりとした長い手足が印象的な踊り手で数日前の2008 International Gala Hikasa Balletでも活躍をしていた。2位の鹿又陽子は東北、3位の川崎麻衣は関西出身だ。二人とも課題曲・創作の両方で確固とした実力を示していた。
 ジュニアの部A1位の大宮瑛は将来への期待と安定した演技が評価をされたのだろう。ジュニアBの1位の乙戸沙織は準決勝の段階から上位入賞は確実だろうなと思っていた。決戦で創作の仕上がりもみることができ、相互の出来具合からおそらく1位になるだろうなと思っていたところこちらも予想通りの結果であった。

 歴代の入賞者を見ていると今日のシーンを支えている踊り手が多く入っていることがわかる。ガラ公演では2006年と2007年の入賞者が踊った。法村珠里、奥村康祐といった人気のある踊り手をはじめ国内外で活躍するダンサーたちが舞台を彩った。個人的には森高万智、中野吉章、中ノ目知章にも注目したい。


日本バレエ協会主催
若いダンサーのための 第19回全日本バレエ・コンクールについて
決勝、エクジビション・ガラ、表彰式

メルパルクホールTOKYO)