白蛇伝

日本舞踊 芸○座 第二回公演

 日本舞踊は電子メディアが普及した今日において国内外に向けて最も紹介するべきジャンル1つだ。海外の熱心なファンは画像をコミュニティサイトに投稿することなども行っている。舞踊批評家の光吉夏弥は現代舞踊・バレエ・伝統芸能とそれぞれのジャンルを大切にしていた。東京藝術大学の卒業生たちの公演が行われた。四世花柳壽輔が語るようにこの大学では大学に舞踊ということで優れた教育が行われている。その卒業生たちが結成したグループがこのグループだ。

 第二回目となる本公演では長唄「猩々」と創作「白蛇伝」を上演した。共に中国文化との接点を感じさせる演目である。
 長唄「猩々」は中央に酒が入っている壷が置かれているなかで伝説上の妖精たちが踊るというコミカルな踊りだ。五條絢巳と若柳薫子が活躍を見せた。ユーモラスな演技をより探求をすると良いだろう。能に取材をしているだけあり近現代のモダンでアブストラクトなテイストに通じる要素もある作品の良さを切り出せるはずだ。
 創作「白蛇伝」も中国の説話に基づいている。ヒロインの白蛇こと白翡を藤蔭静寿、女を呪う悪僧法海を花柳源九郎、命を助けたため女になった蛇と恋をする許仙を藤間豊彦が演じた。解かりやすいストーリーをもった作品だが金属板による銀屏風のような舞台美術や創作作品ならではの現代的な動きなど優れた着眼点を多く見出すことができる。バレエの創作作品にもいろいろなタイプがあるが邦舞の創作も様々なパターンがある。演じ手たちの力量が発揮された明快で解かりやすいスペクタクルだ。演技力豊かな静寿の魅力と豊彦の若々しい表情が活きた良作となった。

 今年の春に三代目花柳寿美の退官公演が行われこの会で踊ったダンサーたちの一部も活躍をみせた。彼らは次世代の日本舞踊を大きく担っていくことになるはずだ。世界の舞踊に影響を与えた舞踊家としては花柳寿々紫、西川千麗らをあげることができる。彼らが近未来の社会に向けて何を切り出していくか、そのこれからが楽しみだ。

日本橋公会堂)