「花柳舞踊研究会」名作集

 バレエや現代舞踊の創作作品を見ていると邦舞との”つながり”を感じることが時折ある。今日では花柳寿南海らが日本舞踊の創作の大家であるが、寿南海をはじめ惜しくも昨年他界した壽楽・三世壽輔など今日の長老・戦後の日本舞踊の担い手を数多く輩出したのが大正13年から五十回開催された二世花柳壽輔による「花柳舞踊研究会」である。”古典の再吟味と創作の研究”を目的にしたこの研究会では古典作品のみならず、当時のアイドルに近い四家文子が歌った曲を用いた作品やバレエなど洋舞から影響を受けた作品も上演された。新体詩北原白秋などの詩を用いた作品もあるという。二世花柳壽輔の名前をアンナ・パヴロワの名前と共に覚えているバレエ・ファンも少なくないのではないだろうか。こういった試みと作品を紹介すれば洋舞ファンからも関心をもたれると思う。大正時代から昭和初期から戦前にかけて、そして戦後日本までその幅の広い活動をまとめた公演が行われた。同時代が浅草オペラや石井・高田二大舞踊団時代、橘秋子をはじめとする黎明期の日本バレエということを考えてもスケールがある内容であった。
 戦後の作品になってくると今日の批評家の側の長老たちが若き日に初演を見ている作品になってくる。戦前の作品たちは私がもう会うことができない批評家たちが愛してきた作品たちだ。二世の作品は過去に数回見たことがあるにはあったのだが時間軸をうっすらと感じさせながらみていくことができ大変興味深かった。若い洋舞のダンサーたちにとってもルーツの一つといえるため機会があれば接してみると良いと思う。



二世花柳壽輔による「花柳舞踊研究会」名作集―昭和の創作舞踊―
長唄 夢の跡」  花柳典幸  
「新邦楽 新編曲越後獅子」  花柳せいら・花柳寿太一郎・花柳昌克  
「舞踊義経千本桜」より  
『(上)清元 すしや』  花柳小三郎・花柳貴代人  
『(下)常磐津 権太』  花柳輔太朗  
長唄 夢殿」  花柳寿美  
長唄 勝三郎船弁慶」  花柳壽輔花柳錦之輔花柳昌太朗・花柳太郎・花柳鳴太朗・花柳寿美藏・花柳琴臣・花柳春涛・花柳寿賀洲・花柳知蔵  
監修=四世花柳壽輔
(第二部 国立劇場大劇場)

         ●        ●         ●

▼今日の一日

 日中、舞踊批評家協会の会合がある。午後、某所にて活動。その後に国立劇場に向かう。様々な観客でごったがえしていた。

■今日の舞踊界

 上野水香が”ジゼル・デビュー”をしたようだ。