忙しい週末

平成20年度文化庁新進芸術家育成公演等事業
エトワールへの道程 新国立バレエ研修所の成果

今回のバレエ研修の発表会ではシアトリカル・ダンスとして「しらゆき姫」、そしてクラシカル・バレエとして「ライモンダ」第三幕よりグラン・クラシックを上演した。「しらゆき姫」では魔女役に吉岡まな美を迎えながら、ヒロインを山田蘭が描く。山田は朗らかな笑顔の似合う溌剌とした新人である。演技力の伸びをみせ一段と成長をかいまみせていた。「ライモンダ」では主役を益田裕子が踊った。ジャン・ド・ブリエンヌを踊ったマイレン・トレウバエフの安定した演技と共に、若々しくも表現力のある世界をきびきびとした踊りとともに披露した。
新国立劇場中劇場)


ダンスっておもしろい!? Vol.2
 モダン・コンテンポラリーの新人を集めた企画公演の第二回目が行われた。意欲的な作品が多かった。米沢麻佑子「To Be //」ではダンサー達が四角い照明空間の中で一人一人踊っていく。存在感が空間に立ち込めてくると壮大な空間の中へリリックな旋律と共に個人の内面が昇華されていく。ヨーロッパでの活動を経て成長をみせるこのアーティストの大きな成長を感じさせる表現だ。北島栄「だるまさんがころんだ」では池田美佳、萩原あや、川井美奈子らが都会の中での遊びをするという心象風景と若者の現代を描きだす。一人一人の存在感をいかしながら作品をまとめていく姿勢と、若者の感覚を切りだす群舞構成が見事だ。
 新境地を感じさせた加藤若菜の「garden」はコンクールで活躍した時代のテイストを抜け切り新境地に挑む新人の姿が印象的だ。バケツをつかいながら、踊りきらず、決めすぎず、パフォーマティヴにいわゆる”ぬけている”感覚を使いながら踊っていく。コンテンポラリーダンスでの活動もその背景にあるようだが作家の近況が興味深く思える。
 日比野京子は「道」で船木こころら新人ダンサーの表情を引き出しながら情景を見事にまとめてみせた。情感を大切にするこのアーティストならではの作品である。金井桃枝「七面太鼓」では七つの太鼓を用いた韓国舞踊が披露をされ富士奈津子らが充実した演技をみせていた。
山口華子の「雪渓」は木村美帆子とのデュオ。構成に変化が欲しいが溌剌とした踊りの表情が見事だ。岩永貴子も「願わくば」で等身大の世界を披露し希望の希求を表現して見せた。
 若き才能の多様な表現が切り開く新世代の身体表現が楽しみだ。
(めぐろパーシモン 大ホール)



Saucy or So 「Nighty Volume2」
 ジャズダンスで活動するラコーナと大竹せつ子らによるユニット。六本木のレストランで大人のセクシーなパフォーマンスが行われた。特に松本大樹の肉体美が見事だ。鍛えられた肉体が切り出す鋭い空気。藤川恵梨(劇団NLT)と荒巻朋(ナチュラル・ダンス・テアトル)も舞台を彩っていく。数年前のひねった感覚のアートダンスと比べるとストレートに大人の世界を表現しきっていた。ボードビルやレビューにも通じる世界だがさらなる探求が楽しみだ。
(ソワレ2月21日 ザ・スペースライズ・トーキョー)