エトワールへの道程

エトワールへの道程2010
新国立劇場バレエ研修所の成果

 新国立劇場バレエ研修所の発表会が行われた。井口裕之「幸福な王子」はオスカー・ワイルドの有名なストーリーをバレエ化した。ダンサーたちがセリフを発する演劇的なシーンも多い。童話のような作風だがファンタスティックなテイストが活きた。続いて「ライモンダ」第三幕よりパ・ド・カトルが男性舞踊手たちによって踊られた。これからを担っていく優れたダンサーが育っているのがよく解る。
 自作の作品も披露された。広瀬碧「小さな秘密」は紅いドレスを着た女の随想だ。宝満直也「太陽のDANCE」では男性の身体美が舞台を彩った。共に現代舞踊やバレエの優れた創作を学んで反映させてほしくもある。
 最後を締めくくった「眠れる森の美女」ハイライトでは朝枝尚子と脚光を浴びている福岡雄大が活躍を見せた。これからが楽しみな二人なだけあり課題もある。朝枝は演技により向上がみえるといいし、福岡も男性らしい渋味が光るとなお良い。しっかりとリラの精の役を踊った間辺朋美と銀の精を舞った原田舞子の踊りにも注目すべきものがあった。

(2月20日新国立劇場 中劇場)