新国立来シーズン、朝日

 新国立劇場は来シーズンの情報をリリースした。バレエでは山本隆之がプリンパル、ファースト・ソリストは寺島ひろみと川村真樹、そしてマイレン・トレウバエフというラインアップだ。ソリストは現在までの大きな流れを汲みながらもベテラン、新進で充実といったところだ。*1作品のほうではボリス・エイフマンの作品を取り上げたりしながらも、最後は牧阿佐美の「椿姫」でまとめることで、一つの集大成を狙おうとしている。その一方でさらなる次世代を見すえた方向性と舵のきり方が気になるところだ。
 コンテンポラリーダンスでは90年代後半以後に台頭したアーティストを迎えながら、その一方で新国立劇場バレエ団のダンサーたちを中心に振り付けるという公演も行われる。仮にいくつかの流れがあるとすれば洋舞の流れにフォーカスし”ポストモダンからコンテンポラリーへ”という流れを軸にとりながらひとくくりにプロデュース・ブランディングされている傾向が強い”日本”の”コンテンポラリーダンス”だが、青田買いが進みマンネリ化してきるマーケットを前にさらなる次世代を構想する上で視点を広げることが重要な時期である。モダンからコンテンポラリーダンスへ、幅の広い射程を狙いながらそろそろ100年を迎えようとしている洋舞の姿を模索している印象も受ける。


 朝日舞台芸術賞*2も発表されNoismの「Nameless Hands〜人形の家」が舞踊賞に輝いた。話題をまいた作品だが、判断に判断を重ね、慎重に打ち出された手堅い結果と考えることができる。今年の朝日の結果を見てもう1つ明るくなったことがある。バレエノアの「紙ひこうき」が最終候補にあがったことだ。この種の芸能賞は大作や一定の評価を得ているアーティストを対象とすることが多いだろうが、このような試みにも評価を与え、注目をできることは重要なことであるように思う。