今年の夏

 関西での仕事を追え、東京へ戻ってきました。311の影響を深刻に受けていない地域は印象的でした。
 今年の夏もシーズン真っ盛りになってきました。die Pratzeの「ダンスがみたい!」シリーズでもWhenever Wherever Festivalでも、いわゆるコンテ・舞踏系と現代舞踊が混じってきているようで、興味深く思っています。
 様々な才能がいることで不況に強いシーンを形成することが重要で、日本の経済力を背景に一方向へ極端なディレクションをかけるという2000年代のプロデュースよりは状況はよくなっていているように思っています。こと現代舞踊に関しては、バレエとの接点を狙える才能、コンテ・舞踏との接点を持ちながら活動をするアーティストたち、そしてモダンベースならではの人たちと3タイプが共存をすることが大切なのではないかなと思っています。最初のバレエとの接点を狙えるタイプのみをプッシュすることが、1クール前になってしまっていて逆に保守的に機能をしてくる部分があるのですが、その流れをみながら’公平に’様々なタイプの新人を出していくことが重要です。
 2000年代にやや「遅れてきた青年たち」のようなコンテンポラリーダンスのアーティストたちがクローズアップをされてきました。私は豊かな時代のプロデュースでクローズアップされるよりも、消費をされないようにシーンと距離をとりながらも、独特な活動をしてきた才能に関心があります。時としてそういった才能たちが、意図せずともジャンルや領域のシンタックスを組み替え、新しい表現を生みだす可能性があるからです。息の長い活動をしてきた彼らの粘り強さも重要です。
 2010年代の25歳前後の新人作家は、コンテンポラリーダンスは既存のものであり、目標はまだ言語化、概念化されないその次を狙っていくことが重要なのだと思います。