北原志穂「Carmen」

 2008年第4回CAFフラメンコ・コンクールで優勝をしたのは北原志穂である。2006年には現代舞踊協会の河上鈴子スペイン舞踊新人賞を受賞している。(この時は私もカヴァーしている。)今日は新宿文化会館大ホールで行われたクリスマス・コンサートでオーケストラをバックに「カルメン」を踊った。バレエや現代舞踊でも踊られることが多い演目だがフラメンコの踊り手でみたい作品でもある。
 前半は白い衣装でモダンな構成で女性の清らかな心の世界を描いてみせる。後半は紅いドレスを着て現われるとアバニコを片手に控え目とはいえ魔性の女に迫る。しっかりとしたテクニック、鍛えられた肉体を持つ踊り手ならではの表情豊かな踊りに客席は沸いた。成熟を迎えつつしっかりとした自身の舞踊を確立しつつある新人作家の姿がここにある。師の小島章司の作品で踊っているときも実に見事だが、ソロでも見ごたえのあるアーティストだ。バレエやコンテンポラリーダンスのファンも時間があったらチェックをしてみると良いだろう。