コンサート、受賞者公演
午前中に生演奏でクラシックを聞く。一昔前までは舞踊批評家、舞踊ジャーナリストは音楽文化や楽壇の動向にも詳しかった。午後は移動と作業、夕方から横浜で取材に入る。
第12回 モーニングコンサート
東京芸大に在学中の未来に羽ばたく可能性の高い若手作家たちによるモーニングコンサートが回数を重ねている。
今回はバストロンボーンの黒田寛行がアメリカの作曲家のエリック・エワイゼンに挑戦し、森田英里奈はショパンの名曲を披露した。黒田による「バストロンボーン協奏曲」はアメリカらしい若々しい空気とおおらかな印象を与える曲だ。スケール感あふれる第二楽章を描く黒田を描く力量が印象的だった。トロンボーンという楽器の性質か、いわゆるクラシックのみならず流行歌や民謡のような情感溢れるフレーズも登場する興味深い曲だった。続くショパンの「ピアノ協奏曲第2番へ短調」はショパンが二十歳前後の頃に初恋の女性だったコンスタンティア・グアトコフスカへの想いをこめて作曲した作品だ。ショパンとコンスタンティアとの関係はバレエのウィリアム・ダラーの名作「コンスタンチア」でも描写をされている。ダラーのこの作品がとても好きな私は個人的興味からも興味深く鑑賞できた。森田は繊細な心の機敏を深く美しく音色として刻みだすピアニストだが、特に第二楽章のノクターン調の甘美な主題が見事だ。続く第三楽章のマズルカ調のリズムはショパンによってマズルカが初めて芸術音楽に導入されたという逸話を残している。作家の才能はこのフレーズでも発揮され会場を見事に彩っていた。
洋楽やバレエは今日の日本のパフォーミングアーツでも大きく発達を遂げたジャンルだ。彼らが拓いて行く近未来の音楽界、音楽界が楽しみだ。
(東京芸術大学奏楽堂)
独奏:黒金寛行(バストロンボーン) 森田英里奈(ピアノ)、管弦楽:芸大フィルハーモニア
指揮:田中良和
東京芸術大学演奏芸術センター
横浜ダンスコレクションR 受賞者公演
媒体にてレビュー
(横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール)
出演:杏奈「ブスソロ〜B's ソロバージョン〜」
三浦宏之「BEYOND/LINE/BEYOND」
キム・ミョンシン「I will」
ドナ・ミランダ「Of course not, this is a bathtub.」