プロコフィエフ

 昨日に引き続きプロコフィエフに接する。偶然にもチャイコフスキープロコフィエフ、そして「シンデレラ」は音楽だけだったのだがプティパ=アシュトンの昨日今日だ。
 バレエ音楽というのは聴いているだけでも楽しいものだ。薄井憲二バレエコレクションから提供された写真映像が演奏に沿ってプロジェクトされていく。プログラムは冒頭はアダンによるロマンティックバレエの名作「ジゼル」の音楽からはじまる。続いてチャイコフスキーの「白鳥の湖」の音楽が初演のときに複雑すぎるということで不評だった逸話からその14年後に40日間で「眠れる森の美女」の音楽が作曲されたというエピソード、そしてその死後2年後にプティパ=イワノフ版として後世に上演されたエピソードがファンにも解りやすく興味深い話し方で解説され、それに続いて音楽も演奏されていく。ラストは日本にも来日したプロコフィエフの名曲たちが繰り広げられた。
 バレエのほうはまず「眠れる森の美女」のパ・ド・シスをKバレエの若手ダンサーたちが披露した。可愛らしく呑気の精のヴァリエーションの惚けたユーモラスな味わいを描いた神戸里奈、丁寧に鷹揚の精のヴァリエーションを踊った東野泰子が見事だ。優しさの精のヴァリエーションを踊った日向智子も印象に残った。最後は松岡梨絵のリラの精のヴァリエーションが締めくくった。松岡も一段と新しい境地を感じさせるようになってきた。続いてローズ・アダージョでは浅川紫織がオーロラ姫を踊った。経験を重ねることが重要だが、これからが楽しみな踊り手である。
 一昔前は大田黒元雄や牛山充といった近代という時代が生みだしたような巨人ともいうべき名舞踊批評家たちが”音楽とバレエ”というテーマに取り組んできたが、そんな書き手は少なくなってきた。舞踊と音楽の接点を考える上でこのような切り口も重要であり音楽に精通をしている書き手がバレエを論じることも重要といえる。*1熊川哲也は初?司会者(本人のトークの中の言い方では)として会の司会をしていた。

熊川哲也の贈り物「舞曲〜第1楽章〜」バレエ名曲スペシャルコンサート2008 Ballet Music Journey
チャイコフスキー:「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形
アダン:「ジゼル」
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」「シンデレラ」
(東京文化会館大ホール)
指揮:井田勝大
出演:熊川哲也、Kバレエカンパニーダンサー
演奏:シアターオーケストラトーキョー

 そろそろ年末の混雑の様相を示しだしている上野界隈を散歩する。浅草・上野・秋葉原というのはサブカルや外国文化もみることができなかなか楽しい。空気が悪そうだから住む気にはならないが歩いていて楽しい界隈である。

■今日の舞踊界

関西では「くるみ割り人形」が上演され、竹中優花が金平糖の精を踊り評判を集めたようだ。東京からも人が見に行ってきたようだ。

*1:一方、戦後になると映像メディアの社会への浸透から、テレビなど今日の映像コンテンツ産業で活躍をしてきた舞踊批評家たちも登場してくる。舞踊批評家の活動領域や形態は時代が反映しているといっても過言ではないだろう。