Bankart / AJdX

Bankart1929 オープンスタジオプログラム ワークイン・プログレス・ショーイング
"Some notes are" ハイネ ロズダル アグダル

ハイネ・ロズダル・アグダルの日本でのはじめての創作に対してワークイン・プログレスの形態でのショーイングが行われた。
会場に入るなり金髪で細身の男性(アグダル)がたたづんでいる。テープをおもむろに伸ばし椅子ひひっかける。観客がスペースに入ろうとするとその進路に立ちふさがり邪魔をする。男は奥に進み、置いてある椅子に座り込む。椅子を並べて形をつくったりとパフォーマンスがはじまる。設定としては一般的な要素があるが見ていてあきがこないのは次から次へと発想が出てくるからだろう。やがて観客側に進み客席に座る座席を作る。客に客席をつくるパフォーマンスは始めてでありこんな部分でも掘り下げるとかなり面白い作品になるはずである。
向こうに進み、壁に張り付く。そして手でテープをまるめて絵を描く。客席側にきて手を壁沿いに這わせたりもする。素朴な発想に基づくダンスパフォーマンスは好意的に受け取れる。日本の電車の車内でよくかかる「優先席の近くでは携帯電話をお切りくださいという音声が続く。スペースには映像がプロジェクトされ電車の中から撮影された日本の日常風景の断片がつづく。客席と舞台空間の合間を縫うように何度も男はスペース内を移動し、客席と空間の差を埋めていく。そして最後はスペース中央に置かれたスチール製のセットにテープを巻きつけていく。テープが巻きつくとセットはプロジェクターになる。そこに少しタイムラグがある形でリアルタイムで撮影されたテープを巻きつける映像が投射をされていく。背後には日本の(おそらく子供向けの)歌謡曲が流れていく。
踊り手が異国としての日本を組み合わせていくという意味では組み合わせる技法はとても効果的だといえる。パフォーマンスの技法を駆使しながら的確に素材を噛み合わせようとする。日本人に対してもユーモアやアイロニーが強く作用するようにパッチワークがさら少し機能すると良くなるだろう。振り付け概念やダンス概念に対する新しい提案がある優れた作品となるだろう。パフォーマーによるアートパフォーマンスにはない行為の切れ味には好感を持てた。
本作は6月にブリュッセルKaaitheaterで初演されるという。発展形態が気になるところだ。


参考 deep blue http://www.deepblue.be/

オーストラリア−日本 ダンスエクスチェンジ(AJdX)2006  オープニングイベント

「CHUNKY MOVE」

音楽舞踊新聞にてレビュー(予定)

赤レンガ倉庫1号館3階ホール