第24回国民文化祭・しずおか2009

第24回国民文化祭・しずおか2009 「モダンダンスの祭典」

静岡で国民文化祭が開催された。このモダンダンスの祭典ではアジアや日本全国の現代舞踊の多様な作品を存分に楽しむことができた。
第一部は「この指とまれ 世界の子どもたち」というタイトルで様々な国の子どものダンスが紹介された。中国の杭州市群衆芸術館少年少女児童舞踊団による「パラダイスの仲間たち」はチャーミングな猫たちの物語だ。アニメの町の舞踊という現代社会にも着目した作品である。韓国のヨンファ舞踊団による「ファムシビルホン」は美しい花の姿から生命と希望の姿を表現している。青年と女性のデュエットを中心に群舞が舞台を彩っていく。人の一生と再生が描かれた。台湾のThe Lan Yang Dancersの「A Summer Afternoon for the Kids」 はベンチを用いながら遊ぶ子どもの姿を描いた作品だ。民族色を活かしたコミカルな踊りが印象深い。日本からは静岡県現代舞踊協会児童クラスが石井小浪の「証城寺のたぬきばやし」を披露した。大群舞にダルクローズのリトミックに通じるムーブメントが映えていた。
続く第二部の「北原白秋を踊る」は日本の近現代の音楽文化と舞踊文化を通じて近代を代表する詩人の世界を描いた力作だ。この地の風土にも通じる横顔もある。
最後の第三部では「ふるさとの心を今に」ということで日本各地の優れた現代舞踊の作品たちが紹介された。国民の祭典らしく鍛えられた肉体を活かした印象的な作品が印象深かった。福岡県の黒田バレエスクールによる「チョット古くて カナリ活きのいいふるさと」は勢いのよい祭囃子や民衆の生活風景といった地域文化を見事に舞踊化してみせた。東京都の坂本秀子舞踊団による「時と紡ぐ〜隅田川幻想〜」では様々な舞台を彩るスターたちが花を片手に踊る。鈴木いづみ、青木香菜恵、玉田光子らが充実した踊りをみせた。岐阜県のかやの木芸術舞踊学園「美濃の国・傘」は立体的な演出を用いながらスペクタクル空間を盛り上げた。
独特な切り口で地域を紹介する作品も印象深い。愛知県の三代真史ジャズ舞踊団の「信長」は歴史上のヒーローをダンスにした作品だ。徳島県のあすなろバレエスタジオ〜檜瑛司創作舞踊研究所の「阿波の恋唄」は枯れた持ち味が邦楽にも通じることを活かしながら女の生き様を綴りだした。
民謡や民俗芸能に着目した作品も目立った。沖縄県の紅倫の会、照屋倫子琉舞道場による「舞獅子」は獅子頭を持った独特な踊りだ。静岡県の佐藤典子舞踊団の「祭」は民謡と風俗をテーマにした作品である。ビィ・ボディ・モダンによる「地行海道〜ソーラン節」はコンテンポラリーダンスから北海道の大地を生きる民衆の姿を刻みだした。
何度も回数を重ねて上演されてきた名作も上演され平多浩子舞踊研究所「風のことば〜都会の友へ〜」(宮城県)とたなはしあゆこダンスカンパニーによる「志功彫る〜風聞の群像〜」(秋田県)も喝采を浴びていた。
 様々な踊り手たちが公演を盛り上げた。国民文化祭は地域と舞踊の重要な接点である。舞踊文化を新世紀日本に育んでいくことが重要だ。

(2009年11月1日 磐田市文化会館)