さらなる新しい時代へ

 時代の転換期のような時期である。昨年、金井芙三枝舞踊団がファイナルを飾ったのは(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20060901)記憶に新しい。また昨年は藤井公・利子も活動の節目としての大きな公演を行った。
 金井が生み出した伝統を継承するように坂本秀子舞踊団がスタートしその最初のリサイタルが行われた。ベテラン作家の飯塚真穂、吉垣恵美、若手作家として将来が期待をされている横田佳奈子、荒木まなみ、野村真弓、そして山中ひさのはいずれも金井舞踊団のあの涙のラストステージを彩ったミューズたちであり、同時に坂本舞踊団の第一世代の作家たちとなった。
 ある関係者の証言によると90年代前半の坂本はほっそりとして見事な肢体を持った、現在の荒木まなみのような流麗な踊りと横田佳奈子のような鋭角な表現を兼ね持つ逸材であったという。同じグループでは武元賀寿子が年代が近く、伝説の踊り手として今でも語られる潮田麻里もほぼ同年代だった。その頃の時代や作風をイメージしながら見ていた。

 このグループのみならず今年の舞踊界では他にもいろいろな出来事が起きているし、もっと時が経過すれば解かることも多々あるのだろうが、戦後という一つの時代からさなる新世紀へと世代交代が始まっているようだ。90年代的な構図でダンスを論じると返って保守的に機能するのが現代である。この国の洋舞、すなわちモダン&バレエにも60年代の熱気をノスタルジーの様に喚起させながらも、情報化やグローバリゼーションなどかつてなかった社会や文明の大きな変動、様々な21世紀の行動原理・市場原理の台頭からさらなる新時代の地平が拓けてきているのだ。


坂本秀子舞踊団公演 2007 vol.1

小品集
団員による全国舞踊コンクール上位入賞作品披露
愛のフーガ

掲載済み:オンライン・プロフィール参照


(めぐろパーシモン 大ホール)


●Dance-Squareから井上バレエ団の「くるみ割人形」の評が出ました。

http://www.dance-square.jp/innc1.html