10年先を見据えて

梅雨も近い蒸し暑い東京だ。でも海洋性気候と南国が好きな私は湿った空気が苦手でしかたがない。だから湘南・鎌倉エリアにいくと、ドライな海沿いの空気で実に元気になるのだ。暑い日差しの下で海に朝からウィンドサーフィンにすぐに出れちゃうようなトロピカルな日々を送りたいのだがなかなかそうはいかない。同じ島国でもナウル共和国なんかはかなり興味がわく国だ。オーストラリア・ニュージーランド舞踊学会に研究発表をしにいったときはパプアニューギニア上空が夜で遠目に月が見えた。


NBAバレエ団「第4回 トゥール・ヴィヨン公演」

トワイラ・サープ振付「ナイン・シナトラ・ソングス」、トッド・アレン振付「ディメンションズ」、安達哲治振付「カレイドスコープ」

媒体にてレビュー

(メルパルクホールTOKYO)



終演後、初来日のトッド・アレン氏と会話をする。ある批評家と話した後に川崎に行く。川崎というと、杉原ともじ、島田明美・美穂のグループの活動の場というイメージがある。駅前は再開発が進みいろいろなテナントが入ったビルが出来ている。また素敵な劇場もあるようだ。



“Piece of modern“
旗揚げダンスパフォーマンス
ハジメの大闊歩!!」

媒体にてレビュー

ラゾーナ川崎 プラザソル ソワレ)



終演後、川崎駅前を軽く歩く。世相は荒れているし、国内外も大変な状態なのだが、人々の生活に活気がある。バブル期の消費文化やバブル崩壊から2000年初頭の前後にかけての豊かさともなんとなく違う感覚を感じる。目の前に広がるのは、2010年代を目前に控えた現代都市の都市空間だ。丁度、ほぼ10年前にコンクールでは平山素子や内田香、飯塚真穂らが活躍をしていたわけで、若者たちの表現や肉体を取り囲む環境が変化をしているようだ。

 舞踊界でも昨日のような90年代には絶対に起きなかった事態が起きてきているわけで、「時代が変わってきた」というフレーズを耳に挟むことが多い。やはり状況が変わらないという思い込みはよくない。
 日本経済や技術が2020年30年ぐらいを未来像として進みだしているのであればそれを後追いの形になるが文化の側からもつくっていくことが大切なのだ。日本の舞踊界では昨今になってポストモダンがようやくいわゆる大文字で学会や各種媒体で語られるようになってきたわけだが、世界の舞踊研究者の流れを見ているとCongress on Research in Dance http://www.cordance.org/ 、Society of Dance History Scholars http://www.sdhs.org/ の年次大会やトレンドを見ていると、そんなのいまさら何をという状態で、日本の舞踊界の10年先を考え、実践的に構築していることが良く解る。
 実情はそんなものなのだから、若い実演家たちは、たかだか国内のローカルな状況にとらわすぎることもなく、広く海外に目をむけ、世界で何が起きているかということを自分の目で見て、作品をどんどん配信して、時には電子媒体ごしに実践的に関わっていくことが重要なのだ。ダンスでも舞踊論でも今の30代、40代を大きく抜ける才能が出てくるのが楽しみだ。