踊りに行くぜ!!vol.6 SPECIAL IN TOKYO

スフェアメックスに足を運ぶ。東京湾はきれいではないのだがやはり海が近いと胸が弾む。
毎年5月ぐらいになると芝浦でもやっぱり海の近くだぜと思うような空気が漂う。
そんなわけでちょっとだけ気分がいい午後だった。

私がアシスタントを務めているテッド・ネルソンもミッシェル・セールもボートハウスに
住んでいる。私も出来ればきれいなエリアでボートハウスとかに住みたいと思う。
でも世間には個人所有の潜水艦を探求しているWebなんていうのもあって
http://www.psubs.org/
とかを疲れたときに眺めているときがあるこのごろ。どうせ住むなら潜水可能な
家に住めればなと思うんだね。
このサイトには自分でつくった潜水艦のレースとかもあって是非参加してみたいんだよね。
後輩とかにプロのレーサーになった子とかいたのだけどあまりF1とかには価値を見出せない。むしろ自分で組んだ潜水艦で競争してみたいよね。
空飛ぶ車も気がついたら売り出されていたりしてなかなか移り気なこのごろ。
http://www.moller.com/skycar/

昨日か一昨日の日経にクレジオのインタビューが出ていた。内容的には文化の周縁に関心
があるとかそういう話。
私はやっぱりトランスカルチャーなマレーとか台湾とか、ないしはカルフォルニア
活動をしていたほうが幸せな人種みたいなのだけど彼のいろいろな矛盾に関心がある
という論にはやや賛同できる。台湾は政治的には大変な国だけどいろいろ勉強になった。
本当に食欲とかにしか興味が出ないぐらい政治的には行き詰っている国家みたいなのだけど
その中でしたたかに強い文化があるというのが刺激的だった。
台湾はこの間は学会発表でホテルと大学に缶詰だったけど今度また行くときはもっと
探索したいね。

踊りに行くぜ!!vol.6 SPECIAL IN TOKYO

桑野由起子(くわの・ゆきこ) 』(作品タイトルは表記できません)
ロックンロールにあわせて女が身をゆすったと思えば手足をうごかしてゆるい動きをする。そんなシークエンスが反復されるとダンスをする、ないしはダンスをしたいという衝動を感じさせる肉体が現れる。のけぞったり身をゆらしたりしながら若干パフォーマティヴに踊る肉体を見せていく。もう一歩細部を詰めることが重要だが続けて作品を見てみたい作家の一人だ。
『handance たんぽぽ』 振付・出演 伊波 晋
ピンクのワンピースを着た女がラジカセを手に持ち登場する。パフォーマンスかと思えばあながちそうではなくダンスである。自身の肉体の限界まで使い切った作品かというとそうではない。大がらなムーブメントと立ったり座ったりといった構成で進む。おそらく鍵となるのは動きに現れてくる美術性だろう。ダンスとしてダンサーと同じ地平に立つともう一歩必要である。そこに作為が現れてくるとスリリングになるはずだ。
赤丸急上昇(あかまるきゅうじょうしょう) 『Rise vs Fall』 振付・出演 赤松美智代、丸山陽子
若い女たち二人のデュエット。松山出身の踊り手は肉体やテクニックがあるという印象があるが、彼女たちはごく自然な肉体である。そんな二人が掛け合いながら踊る。コンセプトのようにフォールやコンタクトといった肉体の動きの面白さ活かした作品かというとそうではない。むしろ二人が情景を構成していく中でそういった要素が現れる。特にポストモダンダンスでどのような作品が上演されたかということと、作品全体の構造をしっかり練り直す必要性がある。
『精神寄生体』 振付・出演 カワムラアツノリ
エプロン姿のカワムラは動きの面白さに注目した作品を形成してみせた。足首を斜め倒しながらにして前にすすみながらコケティッシュなポーズをとるといったユーモラスなシーンがつづく。動きの抑揚と構成には緊張感がある。ヘヴィ・メタルが鳴り響く中、バレエのシークエンスを崩したダンスを見せていく。例えば常に動こうとする片手をおしとどめながら基本的なパを見せる。と、片手が動き、男の動きが崩れていく。この崩れ方と作家のとぼけた表情が心地よい。笑いに対する鋭敏な感性は一層研ぎ澄まされてきた。これからの飛躍が楽しみだ。
『箱おんな』 構成・振付 花嵐 出演 古川遠、ニイユミコ、伴戸千雅子
京都の舞踏グループ。モチーフである小説「箱男」には捉われず3人の動きと構成で見せた。女たちがエプロンにタイツ姿でひっくり返ったりからだをよじらせたりして肉体の部位を見せていく。やや歪んだ肉体の彫刻のような情景だ。このゆがみ具合が舞踏らしい表現といえる。コンセプチャルな作品が多い中で若干目立ったがさらに迫力ある舞台に期待したい。
『ペヴェラーダ』 振付・出演 尹明希  音楽・出演 松本じろ
 スパニッシュの持ち味を生かした佳作。生ギターの音が鳴り響く。カッティングやトレモロが心地よい旋律をつくっていく。フラメンカであればカンテとバイレに沿ってばっちし決めるだろうが、作家はスポットの中で身体を躍動させていきながら熱い情景をつくりだす。スポットの中で情景を盛り上げたかと思えばまた別のスポットの中で盛り上げるといった次第に。と、壁にもたれかかりゆっくりと舞踏のように動く情景も。台湾やマレーの踊り手がポストコロニアルなテイストを大切にした作品を踊ることが多いが雑多にいろいろな文化を吸収してきたスパニッシュを活かしながら文化の政治性までに踏み込めるぐらいの作品だと心地よいかもしれない。
バレエとかモダンのように純化するベクトルを持つダンスというよりはスパニッシュであるとかヒップホップとか知っているだけでゆるくつながりあえる、そんなダンスに影響を受けた作品が多いのも特色だ。
 内容的には少々きついのも事実で意図的にモダンに見えなくしている身体が多いというのは事実だ。モダン=コンテンポラリーの踊り手たちと比べてみると基礎がしっかりしていないという意味で見ているとつらいパフォーマンス的な作品が多い。
アンデパンダン的なよさという意味では自由な空気が溢れている公演だ。


(スフィアメックス)