シティ・バレエ・サロンVol.6

東京シティ・バレエ団「シティ・バレエ・サロン Vol.6」
 今回の本企画では女性振付家が活躍をみせていた。会場となった豊洲シビックセンターホールは演出によってはパネルを外すことで劇場の中からレインボーブリッジを遠望できる演出を楽しむことが出来る会場でダンス公演が増えてきている。渡邉優のシンフォニックバレエ「Blue & White」はゴージャスな夜景の光と舞台照明、白と青の衣裳の踊り手たち(中森理恵、飯塚絵莉、加瀬裕梨、吉留諒、吉岡真輝人、杉浦恭太)を楽しむことが出来る良作だ。草間華奈「孤独の先に…」は少女(松本佳織)の歩みを綴った詩編に基づきながら、主人公と紫色のキャラクターたちが音や身体の表情の変化を通じて描きだしていく丁寧な作品だ。二作品とも色調を上手に用いた演出といえる。
 中弥智博「numero5」は、オールド・ファンには舞台の上で食べるのは良くないとされることもあるとはいえ、野菜を食べる場面を可愛らしくわざとコミックに入れてみたり、円を描き手拍子と共に弾けるなど、一般的なバレエ・ダンスの構成にみられない場面を多く取り入れた力作である。男女の世界を描いた石黒善大「夜、」と共に現代美術を用いた演出、接点を模索していくと広がりがでてくると考えられる。浅井永希「Nostalgia」はよりシンプルに象徴的な物語に絞っていくと多義でありながら明快になるともいえるが、ダンサーたちの演技は素晴らしかった。
 5作品いずれも日本のバレエ界の現代のスタンダードな作風と比較してみると、それぞれの個性と発想の萌芽がある。それが大きく育つ日が楽しみだ。
(9月30日、豊洲シビックセンターホール)