選抜新人舞踊公演・初日

現代舞踊協会・選抜新人舞踊公演・初日

 ソロは伊藤有美の「きらきら星変奏曲」(モーツァルト)の面白さを捉えユーモラスに演じた『戯れ』と白い花園と空間を象徴的な演出を通じて活かした小室眞由子『儚き香り』が白眉だ。ドラマと構成が映える片山葉子『偽りの影』と山之口理香子『記憶のカケラ』も優れている。群舞では川村真奈の新鋭振付家としての振付とクールな感覚が反映された『電気羊を数えておやすみ』は新世代の舞踊表現といえる。
 池田美佳・山口華子らと並ぶ新時代の才能の川村真奈、小室・片山・矢之口ら若手の感性は10年前と大きく異なる。しっかりとした構成と繊細な感覚を兼ね持つ一方で、厳しい時代の中での舞踊活動を重ねているだけあり一味違うものを感じるのも事実だ。コンテンポラリーという既存の枠組みでなく、新しい枠組みからこれらの作品を読んでいくことが重要だ。

(9月29日、新国立劇場・小劇場)