日本舞踊社創立 月刊「日本舞踊」創刊 60周年記念

 日本舞踊社の月刊「日本舞踊」(http://www.nihonbuyo.com/)は今年60周年を迎えた。戦後の混乱まもない昭和24年に吉田幸が創立し初代会長は渥美清太郎*1、二代目会長は江口博と戦前からこの国の舞踊界の発展に尽くしてきた面々を顧問に迎えて今日まで活動をしてきた。縁も深いであろう今日の日本舞踊の代表的な踊り手たちが江戸時代から渥美や江口が活躍したような近現代まで様々な時代の作品を披露していた。今日の舞踊批評家の間でも渥美や江口のことを覚えている人は少なくなく、記念の会ということもあり、この二人の大きな存在の話も上がっていた。

 ここ近年洋舞史でも言及されることが少なくない江口博は洋舞で活躍をしていたが日本舞踊でも正派若柳流花柳流についても著作がある。ある時代までは舞踊批評家は邦舞も洋舞もみていた。若い世代のダンサーや舞踊批評家も代表的な作品や踊り手を知っていくことは重要であるように思う。新人でも面白い実演家がちらほらいて若い世代のオーディエンスがみるようになればと思うと本当にいい機会があればいいと思うときがある。(時々、国立劇場のロビーでバレエやモダン=コンテンポラリー、そして舞踏の意外な人に出くわすこともある。やはりダンサーのほうが専門分化している今日のライターよりいろいろ吸収しているようにみているようだ。事実、バレエで日本舞踊を学ぶダンサーは安達悦子や前田新奈ら多いが、モダン=コンテンポラリーでも渡辺理恵子をはじめ優れたダンサーが日本舞踊を学んでいる。見る側のほうが枠組みをつくっている部分も少なくなく邦と洋というのはそんなに隔絶した関係ではないというのが私の意見だ。)

 私は若い年代の書き手なのだが、花柳で言えば幸運にも三世壽輔や宗岳(=二世寿美)はみることができた。私の時代は新しい四世壽輔や三世寿美になるのだろう。賛否を呼び起こしたが昨年の「新曲『浦島』」の主役を踊ったのはマーサ・グラハムで学んだこともある寿美だ。そんなことを想いながらみていると古典と現代、そして時代の交差点に立っている気持ちになってくる。


日本舞踊社創立 月刊「日本舞踊」創刊 60周年記念舞踊公演
(昼の部・夜の部 国立劇場大劇場)