多忙につき後日UP

今年もシーズン最中である。今週末だけでスターダンサーズバレエ団、新国立劇場の平山素子&木佐貫邦子、テレプシコールの舞踏新人シリーズなどがあるのだが、昨日は公演開始時間に都内にいれない状態だったこともあり今週末はこんな感じになっている。
データのアップが遅れます。

第47回バレエ・フェスティバル
キミホ・ハルバート『A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM』
タイターニア:西田佑子   オベロン:大貫勇輔
ヘレナ:森田真希     ハーミヤ:菊池いつか
ライサンダー:武石光嗣   デミトリウス:井口裕之
パック:キミホ・ハルバート  ボトム:近藤徹司
岩上純『SONG OF THE EARTH』
出演:樋口みのり、梶原将仁 他
松崎すみ子『旅芸人』
バレエ・ミストレス:菊沢和子/松崎えり
出演:下村由理恵、佐々木大、小原孝司、長田佳世 他
メルパルクホール


mami dance space 2008 「tableau’08」 
 北村真実は近年、東京・五反田の東京デザインセンター・ガレリアホールで活動を行っている。劇場空間が遠近法的な舞台・客席という3次元的なパースペクティヴを持っているとすれば、この空間は空間がそんな図式に沿っていないということが作家の意識にあるようだ。今年の公演では作家は絵画にも見ることができるパースペクティヴや見る側・作品を描く側という図式とダンスの図式を重ねるような作品を上演した。
 「赤」では女性ダンサーたちが台詞を口ずさみながら少しづつ舞台に広がっていく。それぞれにダンスシーンを描いていく。絵画の中のキャラクターになりきることでタブローから浮きでた存在を描写しようとしているのだろう。特にコンクールなどでも活躍するチャーミングな金沢恵美、スレンダーで精神性の高い伊澤百恵に注目したい。1人1人のダンサーの表情が良く出ている作品だ。続く「ギアチェンジ」はボーイッシュな4人が踊る作品。ボーイッシュな風貌でもある関口淳子は男装で踊る。男性では倉持健吾は両性具有的な美しさが際立つ。作風はユニゾンをみせたりお互いにかけあったりといった感じのシンプルな構成だ。ダンサーのキャラクター性に着目をしながら素材を活かした内容である。コンクリートによる無機質な空間が立ち上げるライブ感覚やパフォーマンス的なテイストを重んじた作品となった。「愛」は二組の男女ペアの踊りだ。この作品ではアーティストたちがスペースの空間性を活かしながら1Fで踊ったりギャラリーの2Fで踊ったりする。お互いに惹かれあったり、結ばれあう二人の距離をスタンダードな構成から描いていく。稲川千鶴の詩的な表現と年季を重ねた新白石の表情が交差をすると成熟をした男女のカップル(北村真美・古賀豊)の感情が連なっていく。最後を締めくくった「見えない壁」では椅子を場面場面の舞台装置に使いながら観客の一部となった踊り手たちが空間へと広がり力強く踊っていくといった作品だった。
 特に後半の2作品は演出が必要な作品といえる。上演する空間的にさらにそこに美術を加えるといった要素が難しいのだが、絵画をテーマにしているのであれば、海外で良く行っているようなワイヤーで身体を固定して壁の上をダンサーに歩かせるような設定や、マイムのような静かな情景の中で展開する表現を入れたりしても良いだろう。作家の問題意識が結実するのは劇場空間の外か、それとも再び劇場に戻ってからなのか、これからの展望が楽しみだ。
(東京デザインセンター ガレリアホール)