都市とダンス

 本来であればいろいろ公演で立て込む週末なのだが、ダンス・パフォーマンス・エデューケーション研究会を行った。今回は”海とダンス”の続編(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20080907)にあたる”都市とダンス”として都心を移動しながらあちこちで即興パフォーマンスをするということを実践した。プロのダンサーのみならず一般の人にパフォーマンスやダンスを通じたワークショップを行っていくことは私のテーマの一つである。

ダンス・パフォーマンス・エデュケーション研究会

 都心でパフォーマンスというとなかなかスペースがないという問題がある。しかし、今回は路上で即興でパフォーマンスを行った。2006年に私は下北沢の都市計画に反対するカンファレンスUrban TyphoonでSode Mappingという企画を行った。この時は都市のなかに”舞台のソデ”にあたるような隙間の空間を探そうということで、再開発前の下北沢の隙間的空間をGoogle EarthでMappingしていき、空いている場所でパフォーマンスを行うということを行った。バレエ、舞踏、コンテンポラリーダンスのアーティストたちとも作業を行うことができた。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20070520でそのことを少し触れている)実際に開発が進んでいる都市では隙間がないのだが、週末になると歩行者天国ということで、パフォーマーたちへの空間が生まれる。大道芸ではヘブン・アーティストということで認可制度が話題になった時期*1があるが、実際の路上でのパフォーマンスはいわゆる行政との接点が深い。
 最初は人通りが少ない千駄ヶ谷駅からすぐの代々木体育館の裏手辺りからはじめる。神宮球場では野球が行われて声援が凄いのだが、その近くは人通りもそんなに多くなくジョギングなどしている人が多いエリアである。歩行者天国なので道路にも横になれる。まずはそこで即興を行ってみる。意外に大らかで視線も厳しくない。そして歩いて表参道へ移動。偶然なのだがShu Uemura(http://www.shu-uemura.co.jp/new/20081022_christmas.html)の店舗の前あたりでパフォーマンスをする。表参道はやはり敷居が高く警備も厳しいのだがアートには肝要ではある。歩道橋などを使いながらいくつかアイデアを試してみた。
 その後、電車で国会議事堂前へ移動する。休日だが国会議事堂の前はさすがに警備が厳しい。表参道でも”異物”はすぐに警備の側に発見されたのだがさすがにビリビリしている。しかし別のグループが明らかにタレント関係の仕事で白塗りの男性を使って許可付の撮影をしていたりとそれそれで面白い場所であった。続いて桜田門と皇居のお堀端で再び即興を行う。ここは神宮球場の近くと一緒でウォーキングやジョギングをしている人が多い。したがって警戒度が高いはずなのだが意外に肝要で、ポップなスポーツみたいにみられることもあった。最後は日比谷公園で緑にかこまれながらいくつかのアイデアを試して解散した。机上も面白いがたまにこういう実践をしてみると面白い。久々に私も道端で即興パフォーマンスをしていろいろ考えさせられた。
2次元のGUI型のインターフェイスを用いたデータ端末でなく3次元ネットワークの時代だが(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20071022)久々にリアルな都市での身体とパフォーマンスを感じた。