庭園美術館

舞台芸術の世界」

 バレエ・リュスのみならず、ディアギレフがバレエ・リュスを立ち上げる背景になった同時代のロシアの芸術家や文化潮流まで紹介した展覧会。ディアギレフと一緒に活動をしていて後にロシア構成主義へと進む作家の作品なども出ていて興味深かった。

(東京都庭園美術館)



 この美術館の庭園では様々な人がくつろいでいる。ふと遠くを見ると大好きな彫刻家の安田侃(やすだ・かん)http://www.kan-yasuda.co.jp/ の彫刻「風」があった。生前の飯田善国ヴェニスエズラ・パウンドに出くわした話などをしていたときに、「彫刻に手で触れる良さ」について話をしたことがある。敗戦後直後のイタリアでは、まだ彫刻がガラスのケースに入っていなく、飯田はミケランジェロをはじめルネッサンス期のいい彫刻に触れることができたという。柵もないのでそっと触れてみる。
 洋舞と洋楽はほぼ同じぐらいに日本に入ってきて100年近い歴史を持とうとしているのだが、ダンスはもう少し媒体が欲しいジャンルだ。現代彫刻は実はとても面白いジャンルなのだが、ダンス以上に書くことが難しいジャンルだ。日本人で彫刻の批評を書いているというのは酒井忠康ぐらいだろう。彼らは建築家同様に自分が好きな素材を求めて石切り場に足を運んだりする。素材を求めて大地や自然の深層にわけいる。そしてそこから作品を削りだす。実に官能的な職業だ。彫刻家を描いた手塚治虫の「火の鳥 鳳凰篇」を私は愛してやまないのだがそんなこともふと思い出したりもした。


協会創立60周年(社団法人設立35周年)記念
2007 時代を創る 現代舞踊公演

媒体にてレビュー

東京芸術劇場中ホール)