越境者

 フラメンコをみることが多い週末だった。小島は斉京昇に師事、今日のフラメンコの長老の一人である。同時代や大先輩たちは香取希代子をはじめ、河上鈴子に学んでスペインでさらに学んだ踊り手たちが多い時代である。斉京の下では後に舞踊批評家になる市川雅の先輩にあたる。
 フラメンコと芸術舞踊の接点は興味が尽きない。フラメンコを最初に真の意味での舞台芸術にしたのは小島によればピカソらも関わったバレエ・リュスの「クワドロ・フラメンコ」(1921)だ。日本では有名なアルヘンティーナの来日の後、テレジーナ・ボロナートが本格的なフラメンコを紹介する。ギターはカルロス・モントーヤであった。時期を前後するように上海でバレエを経てフラメンコを学んだ河上が帰朝をして日本で踊り始める。舞踊家から舞踊批評家まで興味の尽きない舞踊である。

小島章司フラメンコ2008 『越境者 Allende Las Fronteras』
俳優座劇場)