花田清輝・現代演劇

ダンスとの接点で紹介される演劇というと、舞踏・コンテンポラリーダンスとの接点から語られることが多い維新派*1やモレキュラーシアター*2解体社*3などが良く知られている。


*公式HPより

若手ダンサーは「ポストドラマ演劇」を読むとこういった日本のグループも論じられているので勉強になるだろう。

ポストドラマ演劇

ポストドラマ演劇

先日書いたように、今日では演劇・ダンス・ゲーム・インスタレーションなど様々なジャンルの境界線がシームレスになってきているのが現代だ。自由に発想することが重要だ。

しかし、一般的な演劇も楽しい。興味深い切り口の現代演劇と接することができた。花田清輝というと「復興期の精神」や「アバンギャルド芸術」といった批評で知られている印象がどうしても強い。

アヴァンギャルド芸術 (講談社文芸文庫)

アヴァンギャルド芸術 (講談社文芸文庫)

復興期の精神 (講談社文芸文庫)

復興期の精神 (講談社文芸文庫)

しかし批評家のみならず劇作家・小説家としての横顔もある。そこにフォーカスをした「花田清輝的、きよてる演劇詩の舞台」春祭り2010がシアターXで開催された。彼の演劇を見ることができる機会ということもあり「勝ってたまるか剣振丸 花田清輝「小説平家」大秘事より」を3月25日にみることができた。作・演出はNPO法人国際サーカス村代表の西田恵一だ。出演しているのも若いサーカスを学ぶ芸人たちだ。セリフ以外に様々な芸を披露することができる。
平家物語に関するテーマパーク”で繰り広げられる人間模様と主人公の緒戦“負けっぱなしでどんなに負けても独り相撲”を重ねていく生き様(=花田の批評精神にも通じる)をテーマとしている。平家物語の様々なシーンをサーカス芸によるテーマパークのアトラクションのようにみせていく。その過程で最初は何もできなかった主人公が芸=世を生きる批評精神に開眼するという内容である。サーカスの芸の大衆性と解りやすい演出が功を奏し笑いが客席から沸き起こるような優れた舞台に仕上がっていた。