「焼け跡のカーテンコール」

(執筆中 2008-04-19)

焼け跡のカーテンコール 戦後名古屋の洋舞家たち

著者 伊豫田靜弘/編者 松本吉正/監修 藤井知昭、 発行 特定非営利活動法人世界劇場会議名古屋、2007年

目次
序 章 日本洋舞界の先人と名古屋 受け継がれた歴史と人脈
第一章 南條 宏、きみ子 名古屋洋舞界の夜明け
第二章 西 弘美 焼け跡に咲いた向日葵
第三章 奥田敏子 東洋へ回帰するモダンダンス
第四章 佐々智恵子 人生を支えた父、南條、小牧
第五章 越智 實 破天荒な情熱が築いたバレエ王国
第六章 戦後名古屋の劇場 昭和二十年代

 地方の舞踊史は近年までまとまって注目されることは少なかった。戦後の一時期まで東京と地方という構造があったが、近年の舞踊界では地方がそれぞれグローバルに交通・情報ネットワークを使って世界と結びつくようになって来ている。北海道、中部、東北、関西、四国、九州、沖縄、とそれぞれが独特の活動を展開し情報発信をするようになっている。
 しかしその前にパイオニアたちの活動があったことを忘れてはいけない。中京地区は現代でも重要な位置を担う地域だが、現代舞踊から批評活動を始めた私にとってはなじみが深い奥田敏子や佐々智恵子、そして佐藤典子らの足跡が出ている。さらにバレエでも活躍をみせる様々な才能たちの足跡が掲載されているため本書を手に取った。しかし一読してその中に引き込まれた。どうしても中央を重視して編纂されてきた洋舞史がこれまで注目をしてこなかったような様々な記録が中に含まれているのである。また地方の舞踊ジャーナリズムや劇場の歴史も語られている。例えば御園座http://www.misonoza.co.jp/)のような劇場の記録は上演芸術史としても重要なものである。
 本書は日本の上演芸術に関するドキュメントとしても重要な歴史であり忘れてはならない戦後日本の一ページを記録したものである。