都民芸術フェスティバル参加 現代舞踊公演

 矢作聡子の作品が映像と身体が見事に融合をして確かな作品になっていたのが強く印象的な一日だった。ポストモダンに惑溺することなく、こういう作品を創れるのはいいことだと思う。
今年の横浜ソロデュオ<Competition>+で後ろの席に座っていた外国人プロデューサたちが「これじゃ25年前だ」と冷ややかに言っていたのが脳裏に焼きついている。日常性を重視したりポストモダン・ダンスの影響にある表現に対して彼らはそう反応していたのだ。一昔前の90年代を回想して勅使川原三郎やDumb Typeが大きく台頭してきたあの頃は日本のコンテンポラリーダンスというと海外でもよく売れたということをいう関係者は少なくない。様々なジャンルで指摘をされているが、社会構造からして10年前とまるっきし変わってきているのだ。しかしダンスや肉体を論じるフレームワークは未だに四半世紀前といった印象もある。ダンス表現の近未来がどうなるかということが気になっている。*1
今年の日本バレエ協会の都フェスにおける島田衣子組・西田佑子組(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20080221)のそれぞれ配役と同じように新しい風を感じさせる出来事が次第におきはじめている。一つ一つの流れは合流し大河になっていくだろう―次世代の台頭が楽しみなこの頃だ。




2008都民芸術フェスティバル参加 現代舞踊公演

矢作聡子「KALEIDOSCOPE」、高瀬多佳子「遠い日」、小林伴子「カスタネット進化論」 

東京芸術劇場 中ホール) 

出演者等 : 出演:あわためぐる、矢作聡子、高瀬譜希子、藤野貴世子、高瀬多佳子、片桐美恵、今村陽子、小林伴子 ほか
舞台監督:白戸規之
音響:山本 直

*1:吉田悠樹彦,「次世代を担うモダン=コンテンポラリーの若手たち - ダンスコロキウムをめぐって」,「CORPUS コルプス」 , 書苑新社, No.2, 2007