今月のダンサー:07年7月  玉内集子さん

写真:玉内公一

玉内集子さんはコンテンポラリーダンスで人気がある若手の1人だ。(JCDNプロフィールページ:http://www.jcdn.org/odoriniikuze/06/tamauchisyuuko.htm )私がその存在の面白さに気がついたのは遅ればせながら笠井叡が振付けた「冬の旅」(Ex. http://d.hatena.ne.jp/crosstalk/20060630 デッサンがキレイ )だった。(私もこの舞台の評をまとめている。)母も娘も人気のダンサーといいえるような面々の中で踊る姿がとても印象的だった。
この作家の作品で特に興味深いのは今年のダンスが見たい!新人シリーズで見せたようなムーブメントの質感だ。来月頭には同企画9で踊る。http://www.geocities.jp/kagurara2000/main.html
そこで近況を中心にその活動と創作についていろいろ伺ってみた。


Q1.今年のダンスがみたい!新人シリーズでは新人賞を受賞されたようですが手ごたえはいかがでしたか?


恥ずかしながら初めて「賞」なるものを頂きました。1月の公演に見に来られなかった方や知らない方からも声をかけて頂くことがあり嬉しかったです。


Q2.ダンスとであったきっかけ、ダンサーになった理由についてをお話いただけると嬉しいです。


気付いたら踊っていました(笑)母がダンスの先生をしていたので小さい時は踊ることが当たり前でみんなも踊っているものだと思っていました。表現を意識し始めたのはP’Lushをスタートした96年頃からです。
一度ダンスから逃げたこともあります。美学校で写真光房に行きました。勉強したとまではいえるほどではありませんが・・・。写真も好きでしたが、写真を本気でやるにはダンスやめないと出来ないなと思い始めてから少しずつですがダンスと向き合っていきました。


Q3.笠井叡の「冬の旅」では横田佳奈子さん、山口華子さん、畦地真奈加・亜耶加姉妹と踊られていましたが、いかがでしたか?笠井さんのムーブメントから刺激をうけたことはありますか?


「冬の旅」に参加する前はソロで踊っていたので、同年代の方と踊れるのが嬉しかったです。それぞれ独自の動き・雰囲気があるので一緒に踊っていて勉強になりました。
笠井先生の作品やメソッドに対する言葉や説明がとても興味深かったです。また振付が今まで私の体にない動きが多くまたとっても細かい振付に四苦八苦しました。


Q4. お母様の深谷正子さんから影響を受けたことはありますか?


きれいきれいしてるものは好みではないのは影響を受けているのかな・・・?
何かしら影響は受けていると思いますがよくわからないです・・・。


Q5. 深谷さんご自身が、藤井公・利子先生のお弟子さんですが、師の世界にとらわれないで自由に創作されているように感じています。それについてはどう考えていらっしゃいますか?またそれを崩していきたいと思うこともありますか?


最近は「特定の先生」というものを持たないでダンスされている方もたくさんいらっしゃいますし、「師の世界」というものを考えたことがないですね。なので崩していこうと思ったこともないですが「深谷正子師事」です。


Q6.同世代のコンテンポラリーダンスの若手ダンサーたちと共演、セッションを重ねているようですが、一緒に活動をしていく踊り手の間に基準はありますか?また思い出に残る舞台などあればエピソードをおきかせいただけると嬉しいです。


岡田隆明さんと「Dance,Comma」というシリーズで毎回違うゲストを呼んで行っていますが私自身知っているダンサーが少なくて、岡田さん任せなんです。好みはありますが「こういうダンサーでなくては駄目」という枠は作らずにセッションするようにはしています。
どれも印象深いのですが「千野秀一さん」とのセッションは初めての1時間公演でしたので思い出深いですね。(2006/4/29中野テレプシコール 「美学校ギグメンタ」参加 千野秀一(piano)×玉内集子)千野さんの存在感・パワーに引っ張られてとても刺激を頂きました。


Q7. これからとりくんでみたいこと、やってみたことがあればお話頂けると嬉しいです。


色々な方とのセッションは機会があれば積極的に参加していきたいです。またソロとP’Lush(玉内集子・藤本理子・玉内類子)での活動をコンスタントに出来たらと考えています。


■今後のスケジュールについて


●8月9日(木)10日(金)
「ダンスが見たい!9」参加
玉内集子ソロ「shin」
神楽坂die pratze
開場 7:00 開演 7:30

●9月7日(金)8日(土)開場 7:00 開演 7:30 9日(日)開場 3:00 開演 3:30
P'Lush(玉内集子・藤本理子・玉内類子)
ダンスパフォーマンス公演
「Headache-アタマガイタイ-Vol.2」
神楽坂die pratze

●9月21日(金)22日(土)
「ダンスコロキウム8」参加
振付:森下真樹
アサヒスクエア

●10月26日(金)27日(土)
「踊りに行くぜ!!8」参加
P'Lush(玉内集子・藤本理子・玉内類子)
山口県山口情報芸術センター スタジオA 予定

●11月24日(土)
「踊りに行くぜ!!8」参加
P'Lush(玉内集子・藤本理子・玉内類子)
鳥取県鳥の劇場の鹿の劇場

●12月2日(日)新世代ダンスと音楽イベント 2days(仮題)
主催: イタリア文化会館  
後援: ポセイドンイタリア文化会館アニエッリホール 千鳥ヶ淵 にて


■プロフィール 玉内集子


 Shuko TAMAUCHI1979年6月1日生まれ。
船橋在住。P'Lush として96年より作品を発表。その後ソロ活動を始める。「背中のつぼみ胸が咲いた」「adjustment」「嘘がついてまわる」「この部屋にゴミ箱がない」04年「よるのそくど」(ダンスの犬 ALL IS FULL)05年笠井叡振付-ダンスコロキウム#3参加、06年「裂けてゆく月#2〜4」(ダンスの犬 ALLIS FULL)など。
P'Lushとして2007年4月に神楽坂diepratzeにて初の単独公演を行う。「Headache-アタマガイタイ-」を発表し好評を得る。
ここ1年身体表現の自分自身の考え方が変化し続け、今も模索中。【ココが良くて、ココが悪い】という二者択一ではないその間やそれを飛び越えた曖昧なゾーンに惹かれる。確信できず、パラパラと散っていく。掴もうとしたらすーっと下から昇り次の瞬間、まわりの景色が無色になる。幼い感情だけが先走りしないよう抑制中。今回も切れ端の電波を少しでも飲み込めればと勉強中。と色々書き出してみたら私は「〜中」ばかり。


写真:玉内公一