データで見るコンクール2

東京新聞のコンクールの結果をネットで見ている。
予選しかみなかった部門も多いのだが、結果を見ていても勉強になる。創作舞踊部は若野信子の「夏秋草図」の一位はhttp://www.kk-video.co.jp/concours/tokyo2007_kessen/sousaku.htmlだ。映像を見れば解るように夏の涼しさを関口淳子が、秋の彩りを上田仁美が踊るという配役が上手い作品だ。予選で見ていて、審査員の面々から大体この作品かなと読みをかけていたところドンピシャだったので驚きだった。二位の山口華子はコンテンポラリー・ダンスのオーディエンスにとってはダンス・コロキウムの笠井叡の「冬の旅」に出演していた踊り手といえば解るかもしれない。山口は若い踊り手だが創作に対する才能を開花させつつあるようだ。三位のさとうみどりもこのところ健闘をみせている作家だ。今回のパートナーはコンクールで活躍する富士奈津子だった。ベテラン作家だがここ近年意欲的に作品を発表する姿勢は好感を持てる。
 全体として若い作家たちの感性を映し出したような作品が上位に入ったのも印象的だった。http://www.kk-video.co.jp/concours/tokyo2007_kessen/sousaku_n.html 前沢亜衣子はこの作品ではスタンダードな作品を上演していた。現1のような作品がつくれるのだからこちらでもそちらに近いムーブメントが見たくもあった。
 さらに「F―誰も知らない事―」野村真弓は審査員の面々からどこまで上位に喰いこむかとても気になっていた作品だった。身ごもったようにお腹が大きくなった山中ひさのと横田佳奈子が舞台の上で楽な格好をしている。二人は立ち上がるとよたよたと歩きお互いのお腹に耳をあてあう。それだけでもとてもスキャンダラスでショッキングなシーンだ。背後にたつ荒木まなみと岡野友美子、そして野村といった面々と掛け合うように二人は蠢いていく。すると突然、それぞれのお腹の中から無数の卵があふれだす。白い異物が床に広がる。やがて二人は背後に引きずられていく。この作品を演じる面々はこのところコンクールでいずれも1位受賞や入賞している作家たちで実にいいラインアップである。野村は創作が群を抜いて面白い作家だ。ソロでもこの面白みがでるような作品が出ると良いのだが、ソロになってしまうと飯塚真穂から影響が色濃く出てしまう側面がまだある。前沢も野村も創作でも活躍をして欲しく期待のできる才能だ。
 予選にはコンテンポラリー・ダンスのお宝。(グループ名で『。』が入る)や冴子、菊地尚子、現1で1位入賞した上原かつのりなども意欲作を発表をしていて彼らの斬新な意欲が印象的だった。飯塚真穂は作家が狙っている方向性を明確に感じ取れる作品を発表していたが、作品の完成度が伴わず惜しくも評価に結びつかなかった。
バレエ パ・ド・デゥ部 http://www.kk-video.co.jp/concours/tokyo2007_fin/ballet_pdd.html は「眠れる森の美女三幕より オーロラとデジレのGP」 西田佑子・大貫真幹が1位入賞したようだが、これは予選の時にもしかしたらそうかなと思っていた。西田はハルバートの公演ではコンテンポラリーを踊っていたが、この舞台ではオーロラ姫を踊っていた。優れた演技力とチャーミングな表情が心地よかった。