個人コレクター、芙二三枝子

個人コレクター http://www.h7.dion.ne.jp/~uttan/14my.html といった言葉がちょっと前にブームだった。あるダンサーの父親も現代美術の熱心なコレクターだと伺ったことがある。
東京都現代美術館のキュレータークラスになると、一日に何十件もギャラリーを見てまわるようだ。私も都内でちょっと時間が出来ると、有名、無名を問わずギャラリーや骨董品屋をめぐることがある。特に現代美術は現代と(広義の)クリエーションを見る上で格好の素材だ。
小林秀雄のような文芸批評家にとって、言葉ではない骨董のようなモノは生き抜きだったという。Amazonを見ていたら、読んではいないのだが、こんな本が出てきた。

死の骨董―青山二郎と小林秀雄 (以文叢書)

死の骨董―青山二郎と小林秀雄 (以文叢書)

現代美術でもアンダーグランド系や骨董のように「まだ価値が出ていないもの」「価値がわからないもの」を見て、その評価を見定めるというのはいいトレーニングになる。
関東では情報文化で、例えば誰かが勅使川原三郎や金森穣がいいといえばいいといってしまう風土がある。関西、特に京都は最初にファンになった人がヒーローだ。古橋悌二にしてもコンプレッソ・プラティコにしても最初にファンになった人は今でも伝説だという。ダンスを見ていて、私がアンダーグランドやコンクールを見ていて特に楽しいのはこういう部分だ。故に一日に百曲以上見るコンクールでも予選からコーヒーだけで粘るのは全く苦にならないし、とても楽しいのだ。

青山で打ち合わせをしたあとに時間ができる。そこでギャラリーと書店をいくつかまわる。

多田昌子個展

抽象表現主義フリーダ・カーロジョージア・オキーフのようなエスニックな要素もある作家に影響を受けた作家の作品展だ。アメリカ南部やメキシコにかけてのアートの空気も感じる。技法はいまだに模倣に近いところがあるが、モチーフと取り組む姿勢を好意的に感じることが出来る。

(プロモ・アルテ・プロジェクト ギャラリー)

関係者は知っているだろうがNadiffは池袋セゾン美術館にあったショップが表参道に移ってきたショップだ。 http://www.nadiff.com/home.html
時折顔を出すのだが、いってみたら大竹伸郎 http://shinroohtake.jp/ の展覧会をやっていた。

カバな午後 大竹伸郎

本当に久々に現代美術と接している印象があるこの頃である。この展覧会では大竹伸郎のグロいペインティングを見る事ができる。素朴な絵なのだがKikuchi Kimie(キクチキミエ)と同様に内的なエネルギーやカオスを過剰に描く作家だ。香港での体験が大竹にこんなワイルドで過剰な地平を描き出させたという。私も台湾を経ることで大きく変わり、再び台湾に行こうとしているこの頃なのだが、対象から触発される無意識と人間の内的エネルギーというべき地平を感じさせる展覧会だった。

東京芸術劇場の建物の地下にあるギャラリーにも立ち寄る。

広河隆一 チェルノブイリアフガニスタンパレスチナイラク

チェルノブイリ原発で被災した人々のドキュメント。被爆によって変わっていく彼らの生活と日常が捉えられている。先日、ある実演家にインタビューをしたところ、長崎での被爆体験の話になった。そんなこともあり、ゆっくりと写真を見たかったのだが開演時間が近かったため、ごくわずかしか見ることが出来なかった。


芙二 三枝子 現代舞踏公演

「土面」「響」「散華」
媒体にてレビュー

(東京芸術劇場 中ホール)