近未来、アルス、バレエ公演

気がついたら今年のアドバイザーがネットにアップされていた。
ということで結果発表はそろそろなはずなのだが:
http://www.aec.at/en/prix/communities/advisors.asp 今年はこの面々でやってるみたいです。

近未来

前にもここに書いたけれど、長い間、アシスタントを勤めていた、テッド・ネルソン(http://www.xanadu.com.au/people.html 私のクレジットも有)はサンフランシスコでボートハウスに住んでいる。隣人が最近ではブライアン・イーノとかとLong Now Foundation http://www.longnow.org/をやっていてスチュワート・ブラント http://www.well.com/~sbb/ で、彼はボートハウスにモーターをつけて海上を走行したりするときもあるそうなんだね。私も東京でそんな場所があればそういう場所ですごしたい。セールもボートハウスに住んでいるしね。

交通手段はめっきしクラシックカーか近未来的な乗り物にしか感心がないのだが、
こんなサイトをみていると http://www.roadabletimes.com/ わくわくする。

特に意味がないのだが車を見るとTachikoma http://www.kokaku-s.com/root.html のイメージが出てくるこの頃。

舞踏資源研究所 http://www.min-tanaka.com/cgi-bin/page.cgi?main=1&sub=4 とかみたいに地域に密着する生活もいいかなと思うのだけど、ダンス、身体文化だけではなくてそれを取りまく環境とも一緒にあれこれやっていきたいものだね。
風力発電はそもそもデンマークの体操家・思想家が発明したものらしいね。「身体文化のイマジネーション」http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4794803370.html に出ているから是非一読あれ。

XaQ JP http://web.sfc.keio.ac.jp/~yukihiko/XaS/XaQjp.html に書いたけれど、ネルソンは若き日にジョン・C・リリーの下にいたことがあるんだね。イルカを相手にしていたらしいのだけど。ちょっとシンクロニシティがあってリリーの事も調べなおしてるこここの頃です。

森下洋子舞踊暦55年 松山バレエ団 「ジゼル」(全幕)

本作はいうまでもなくロマンチックバレエの代表作の1つである。おそらく私は子供のころに森下洋子を見てからおそらく20年ぶりぐらいに再びその姿を見る事ができた。
 このバレエ団による本作の魅力は森下を始めとする踊り手たちのしなやかでありながら強い表現と、豊かな演出ということが出来るだろう。マリー・タリオーニの姿を描いた図版があるが1人1人の踊り手たちはまるでその当時の版画の様である。M・フォンティーンやヌレエフと共に仕事をしてきた森下の踊りの表情は戦後という時代を感じさせながらも普遍的な魅力がある。55年周年ということもあるが、第一幕では少女のようにジゼルの無垢で純真な世界を描いたかと思えば、実に円熟した演技でアルブレヒトへの感情を描く。続く第二幕ではヴィリーたちとの見事に演じきった。作品の解釈や設定よりは何より踊りそのものに集中したその姿が見事だ。森下は、フォンティーンについて多くを回想するが、何よりバレリーナとしてその人生と向かい合っている姿とその普遍性は多くの世代のオーディエンスの心を打つものがある。
終演後に関係者の間で舞台の上で記念撮影が行われ、森下を始めとするキャストから挨拶があった。1人1人と握手をする森下の姿が印象的だった。

*この評は数日以内に加筆します。5月4日

Bunkamura オーチャードホール

Angel R Presents 「The Nuts Cracker」, パティシエHの日記より
芸術監督 児玉麗奈、 演出・振付 橘ちあ

第一部は残念ながら移動などで時間がおしたことによって見ることが出来なかった。このBlogで過去に「今月のダンサー」でインタビューをした二人、児玉麗奈と橘ちあによる作品である。ロマンティック・バレエの名作「くるみ割り人形」を若い世代の仲間たちと翻案したといったところだ。春の盛りのこの時期に秋口から年末にかけて耳にするチャイコフスキーのフレーズを耳にすると、どうしても南半球に仕事で行った事を思い出す。お菓子屋さんのパティシエがお菓子の精たちと繰り広げるイメージ豊かな世界だ。原作はいうまでもなくホフマンスタールなのだが、第二幕「お菓子の国の魔法の城」と若干イメージを重ねているのだろう。音楽は原作の第一幕から第二幕までを抜粋している。
幕が上がると、目の前にホリゾントいっぱいに縦縞でカラフルなセノグラフィー(三輪ノブヨシ)が広がる。魔法のステッキを持ったシュガークィーンこと前田新奈が現れると、軽やかにそしてゴージャスに物語がはじまる。有名なフレーズが始まるとショートケーキ、ミルフィーユといったケーキやレモンティーカプチーノといった飲み物の妖精たちが現れる。ムーブメントは昨年秋に橘ちあが見せたようなこのグループならではのバレエに基づいたコンテンポラリーダンスだ。フェアリーたちはケーキ職人が悩む中で若者たちの日常や素朴な風景を描きだす。それぞれの食べ物の特色を活かした衣装は櫻井薫による。特筆すべきなのは前田や児玉といった実力あるバレエの踊り手、橘のような新進振付家、バレエ界でそれなりに知られた若手達がそれぞれに舞台を彩っていることである。また彼らが紡ぎだす世界と表現技法は新世代ならではのものがあり、発表会で上演された作品だが、先端的な感覚に溢れているということである。明るく女性的なイメージに基づくこの作品をさらに練り上げ、ヴァリエーションなど見せ場を持たせることが出来れば立派に中劇場などでも上演できる水準にある。例えば左右に踊り手たちがながれる中で若手たちが実に豊かな表情を見せる。中でもオレンジ色の服を身にまといレモンティーを演じた矢部亮子のさわやかな表情が印象的だ。椅子を舞台に並べてダンサーたちが一列にならび、それぞれに豊かな表情を見せる情景はヨーロピアンな持ち味で90年代の欧米のコンテンポラリーダンスを感じさせた。チームワークと若者たちの力の結集が新しい世界を描き出そうとしていると言えるだろう。原作の王子とクララの踊りはウェディングケーキとチャーミングに変身し、児玉と後藤和雄のデュエットがしっとりと締めくくった。

(こまばエミナール 5月3日)