展覧会 恋よりどきどき コンテンポラリーダンスの感覚


 会場に入ると出くわすのがダンボールを使ったコンドルスのブースだ。コンドルス
は便利だということで舞台でずっとダンボールを使っているらしい。そんな彼らの
日常を想わせる様々なアートワークや小道具、台本、などが細かく間切りをされた
意図的に移動しにくくしてある空間にちりばめられている。アートワークというよりは
実にクリエーター的である。バブル崩壊から失われた15年にかけて青春を送った
若者が出会う音楽やビジュアルといった様々なアイテム、記号が現れている。
印象的なのがいわゆる秋葉系やオタク系を想わせる要素がほぼないということだ。
 美術館というよりは若々しい若者が自主展示をしているようだ。戦後の読売
アンデパンダンを私は見ていないのであるが、聞いたり資料で見たアンデパンダン
に若干近い空気かもしれないと推測もした。ダンスライフを送り、様々な戦術で
ダンス活動を送ってきた若者の生活がそこに置かれている、そんな印象である。
 そんな中で1つ大きく印象的だったのが、壁に掛けられた近藤良平の若き日
の写真である。ポルトガル南端を自転車で旅をしていたときに、旅の風景に寄せた
若き日の近藤のリリシズムあふれる叙情と想いが記されている。原風景は時を
重ねて成長をしていった。
 Nibrollのブースでは彼らのヴィデオアートをつかったインスタレーション
展示をされている。どこまでも明るく前向きな作品である。
 珍しいきのこのブースではきのこスタジオということで彼女達がデザインをした
スタジオが置かれている。彼女達の世界がコンドルス同様に若干演出により
デフォルメされながらほぼ等身大に置かれている。
 ほうほう堂は壁に写真を展示をしていた。写真の中に現れるメンバーの表情
は映像を意識したのかユーモラスである。他団体と比べるともう1歩欲しい。