日本バレエ協会「バレエ・クレアシオン」

Twitterより短評】

日本バレエ協会「Ballet・クレアシオン」
現代日本の創作バレエを楽しむことが出来るのがこの公演だ。市川透「コミカル・シンフォニー」は考え過ぎず笑顔で楽しめるジャズ・バレエ。テーラー麻衣は大人の表情で魅せるようになったし、情感溢れる吉田真由美や笑顔の柴田有紀にも注目したい。小出顕太郎「前へナラへ」は幕末の偉人・江川英龍に着想を得た作品だが予想を裏切るように和の要素はないコンテだった。金子優らが力演。構成や振付の向こうに自身の世界や舞踊論が芽生える日が楽しみだ。三浦太紀「Intention or Web…C side」は近年の試みを集約し震災後の神話を描いている。バレエを通じて独自な物語を探求する手法はこの作家ならではだ。コンテの大橋可也のように現代SFをテーマにする才能もいるが、彼らならではの世界観が確立も課題となる。ベテラン橋本直樹・櫻井マリの良質な演技など見所もある。青木尚哉「互イ二素」は快作だ。パーカッションとピアノの生演奏を交えながら榎本祥子らが肉体に内在する衝動や世界へ外化する意識を打ちだしていく。一昔前であればエドウィン・デンビーを用いながら数学の集合論や身体の光と闇という切り口で語られたのであろうが、今日では音による空間の振動や振付のパターン・形式がカオスとコスモスを描きだした。日本社会においてバレエ振付家・作家を育てていくことは大切なテーマだが年を重ねながらこの企画は成果を出し続けている。

メルパルクホール)

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