Animal Love Project

 2月と8月というのは公演が少なくなる時期なのだが、die Pratzeはいたって元気で、舞踏やコンテンポラリーダンス、小劇場演劇のファンが連日足を運んでいる。今年のこの時期はバレエなども外来で大きなものがいくつもあり公演ラッシュといった様相を示している。


ダンスがみたい10 インターナショナルシリーズ
die pratze Dance Festival 2008
Animal Love Project

 Animal Love Projectとはその名のとおり動物をテーマにした作品を上演するというユニットだ。リーダーはAnushiye Yarnellで数人の女性作家が集まっている。
Joelle Gruenberg(ペルー)『IS MY BODY A HOTEL?』
 黒い衣装をきた女が立ち上がらずゆっくりと舞台を蠢いていく。ミュージシャンが弦楽器を使ってノイズを作りだす中、女は立たないで動く。コンセプチャルな作品だ。女が身体を歪ませて作りだす動きには舞踏からの影響を見いだすことが出来る。タイトルが示すストレートなメッセージの政治性をより明晰に描いてみせても良かったように思うが表現力のあるアーティストではある。
・小南ゆう子(ルクセンブルグ)『Linnunrata』
 一列に紐状につながった折鶴を頭につけた女性が現れる。身体にまきつけたりしながらごく簡単に動いてみせる。やがて折り紙による舞台美術を身体から外すと舞台美術の一部にしてしまう。黒いチュチュを身に着けた女は胸をはだけると筋肉質な肉体をゆっくりと動かしていく。筋肉の力強く繊細な表情が力強い女性性を描きだすと白い折鶴たちというシンボルとともに女性性を描きだす。現代美術の嶋田美子を彷彿とさせるパンチのきいた仕上がりだった。
・Anushiye Yarnell(ウェールズ)『Bear - the wanderer』
 熊の着ぐるみをきた半裸の英国人女性が丸くなって登場する。ゆっくりと立ち上がり会場内を動きまわる。着ぐるみをきて動きまわる女性という設定が先週末に見た珍しいキノコ舞踊団と一瞬シンクロする。キノコが日本的でポップなクリエーター的な作風で勝負をしているとすれば、Yarnellはラムちゃんのように可愛らしくもみえる。そんな女性が孤独をパフォーマンスを通じて描いていく。やがて女は着ぐるみを脱ぐと舞台後方に置かれた脚立にのぼり上体を布で隠す。熊というメタファーの意味するところをより強く打ち出しても良かったように思う。
 公演最後にはミュージシャンたちとダンサーたちによる即興が繰り広げられた。
(神楽坂die pratze)