小野絢子、珍しいキノコ

 Chacott渋谷で小野絢子さん(新国立劇場バレエ団)のトークをきく。なんとこれが初トークとのこと。しかし小野はそんなことも全く感じさせない理知的で話し上手なダンサーである。質疑応答では難しい質問にも、解りやすく機転のきいた応答をするなど舞台印象とはまた異なる横顔をみせてくれていた。
(小野絢子 昔の映像:http://www.kk-video.co.jp/concours/tokyo2004/ballet-jr.html )

 駅前で休憩の後、銀座に向かう。銀座ではいつものようにいろいろなギャラリーをみる。お盆休みと週末の夕方ということもあり結構有名なギャラリーが休みだった。時間が時間だったのだがメゾン・エルメスはあいていてN.S.ハーシャというインドの現代作家の「レフトオーバーズ」という作品をみることができた。葉っぱの食器に食べ物を盛られているというオブジェがスペースの床に広げられていた。私はコレクターではないのだがギャラリー・画廊に頻繁に足を運ぶほうである。現代美術は学生時代から接しているがやはり面白い。最近ではギャラリーで何か”しかける”ことはしていないが、昔の仲間で今でも美術に接点がある仲間も少なくない。私は銀座の画廊でアルバイトをしていた時期もあることがあるため通過をするとあちこちみてまわる。そのたびにいつも思うのだが独特な街である。90年代はバブルとかハイソなイメージがあったが2000年ぐらいから若手作家の展示が増えてきているのは事実だし(http://www.art-it.jp/patron06.php)、東京画廊みたいな老舗がイメージチェンジをするなどやはり美術を語る上では外せない街である。


 夜は珍しいキノコ舞踊団。南国風の舞台美術にこれまでの作品のダイジェスト大図鑑というのが今回のこのグループの公演だ。私が見てきた中でも10年の歳月の中で、ダンサーたちも成熟をし、舞台美術・音楽の方も力をつけてきたように思う。いわゆるダンスで使うような音楽や美術でない、クリエーター的でポップな作風がこのグループの大きな特徴の一つなのだが、具体的にこのカンパニーならではのテクニックや舞台構成が確立しているかというとそこを前に押しださずに素人芸とのスレスレのきわどいラインで見せるというのが一つの売りだろう。個人的には10年前から注目をされていたグループだけあって舞台演出に頼らない表現やテクニックがより力強く打ちだされていて欲しかったのも事実だ。

 過去のポスターなどが展示をされており、実は昔の作品を結構みていること、例えば今から10年前の1998年にラフォーレでやった公演などを見ていることがわかった。10年前の印象と同じ部分と異なる部分。このグループとは年代も近い分、いろいろ考えさせられた。

 しかし暑い。栄養がある中華料理がおいしい季節である。中華料理が好きな私だが、こんなときは横浜に憧れる。


珍しいキノコ舞踊団「珍しいキノコ大図鑑」
(ソワレ ル テアトル銀座