データで読むコンクール こうべ2008

 今年もこうべ全国洋舞コンクールの結果が出たようだ。
http://www.kabocha.to/~mYna/dance20/2008modan.htm
 予選から見れていないのだがデータから読みとれる範囲をまとめてみよう。

 モダンシニアの1位は大竹千春だ。かつてからダンサーとして恵まれた条件で注目をされてきた作家であるが、ここにきて明確に社会的評価を確立したといえる。2位の斉藤友美恵は本間祥公のグループで活躍をしている踊り手だがソリストとしての可能性を秘めている存在のためその成長が楽しみだ。
 コンクールで活躍する女性ダンサーたちを横目にしながら、ワイルドにアグレッシブに攻めているのは乾直樹と秋月淳司である。前澤亜衣子(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20070603)らとともに活動するアーティストたちだが、それぞれが興味深い作品を作り上げるので目が離せない。
 さらに竹中優花(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20070915)もコンテンポラリーダンスで挑戦をし、決してアイデアやコンセプトのみに終始することなく踊りの技や表現力をみることができる審査を前に着実な評価をものにしている。竹中は貞松・浜田バレエ団で活動するプリマだが、薄井憲二がいうようにバレエもモダンもコンテンポラリーもお互いの敷居が薄くなり、それぞれのジャンルだけでも駄目な現代において興味深い活動をしているように思う。コンテンポラリーといったときに文学性の否定やモダン的な部分の否定というカラーがコンテンポラリーダンス世代以後のバレエ専門の書き手の間にどうしてもあるが、昨今のモードにとらわれない優れた表現であるといえる。
松理沙は表現力がある作家だが所夏海や横田佳奈子と同じジェネレーションの
ダンサーたちが持つ鮮やかで繊細な動きをものにしてきている。厚見紀子もこれからのシーンを担うダンサーの中で興味深い存在でありこれからが気になる才能である。

 創作は木原浩太が1位に入っている。明確な構成や表現展開が課題といえる作家だがこれからが楽しみな才能でもある。
 ジュニア1部・2部の結果を見ていると1部1位の新保恵の活躍が印象的だ。松理沙らと共に頑張って欲しいところだ。