江戸川

 早いものでもう9月だ。新小岩で降りて江戸川区総合文化センターhttp://edogawa-bunkacenter.jp/ にいく。このホールはなかなかいいホールだ。川辺にあり、水のせせらぎも楽しむ事が出来る。駅からちょっと歩くのが難点なのだが、その途中に商店街や路地裏の飲食店も多くあり、結構便利な劇場空間になるのではないか。


 ちなみに今日はモダン=コンテンポラリーの若手作家の1人、山中ひさのがジャンセン美術館でおそらく作家にとっての最初の公演としてパフォーマンスをしているようだ。http://www.musee-de-jansem.jp/event.htm 会場が長野なので見れなかったのだが、美術館で踊るという公演形態は面白い。埼玉舞踊協会の面々は埼玉の美術館でパフォーマンスを行っている。山中も自身の公演を実現させたが、この作家と共に活動している桑島二美子も昨年、初めての独立公演を行っている。新世代の才能たちが次第に巣立ちだし社会へ羽ばたきだしている。
 新鋭・中堅作家の中では菊地尚子 http://www.nanamarugo.net/ などは私とほぼ同年代なのだがもうスタジオ開設10周年のようだ。ほぼ同じ時間をこの世で過ごしながら、作家になる人々もいるし、ダンスライターになる人々もいる。同じ時代に同じものに接してきてそれぞれ異なった道を歩んでいるというのは興味深いものである。私は今の40代の作家、ライターの同時代性はやはりそうざらには同時代とは同意できない。菊地や冴子、矢作聡子の作品にあるものはコンテンポラリーダンスとちょっと違うものもあるのではないか。私はコンテンポラリーダンスそのものよりは、むしろ70年代世代、そしてさらに若い80年代世代が社会に芽吹いていったときの舞踊表現や舞踊論がどうなるかということに関心があるのだ。60年代には20代でも良く仲間でつながってリサイタルをやっている。今の20代、80年代生まれの生意気盛りの彼らの最初のリサイタルは見ていてあきない。
 60年代の現代舞踊の若手の反体制側のスターは例えば木村百合子や若松美黄、土方巽だった。バレエは横井茂、厚木凡人、高橋彪らの名前がすぐにあがる。一昨日に新国立劇場でみた前沢亜衣子・乾直樹の最初の独立公演も鮮烈な印象を感じるものだった。高瀬譜希子、横田佳奈子そして荒木まなみも同じようにそれぞれ社会に大きく羽ばたいていくのだろう。例えば、上原かつひろやその仲間たちの動向も楽しみだ。バレエだとキミホ・ハルバート、児玉麗奈、森田真希、前田新奈らといったところだろうか。おそらく21世紀初頭はイデオロギーで体制や反体制、舞踊や反舞踊(こういうタームがかつてあった!)といった時代ではないのだろう。現代の若手作家の方法論は、情報メディア文化と密着するかたちで、おそらくこの私も理解できないぐらいさらに高度に発達するのではないか。


第3回 日ロ交流ロシアバレエコンサート ギティスバレエ

媒体にてレビュー

江戸川区総合文化センター 小ホール)