松山バレエ団顕彰表彰式

第17回 財団法人 松山バレエ団 顕彰表彰式

加藤耀子(芸術賞)
鍵田真由美・佐藤浩希(芸術奨励賞)
平多宏之・陽子(教育賞)

今年の本賞の対象になった面々は、選考委員のコメントにあったが、それぞれ「日本」を素材にして活動をしている作家たちだ。
 加藤耀子は山口県出身の作家だ。加藤の作品には山口ならではの独特の自然が描きこまれている。鍵田真由美・佐藤浩希は「曽根崎心中」や「レモン哀歌」をフラメンコで描いた。福田一平によればスペインの外でフラメンコが最も盛んな国の1つが日本だという。また藤井修二は彼らの優れた創作活動について語った。日本という素材を用いながらこの国の舞踊史に残る名作を送り出してきているのが彼らだ。その姿勢は小島章二の”ネオ・フラメンコ”にも通じるものがあるという。平多もまた加藤同様に中央ではなく岐阜で活動をしている作家だ。うらわまことは児童舞踊は日本特有の文化で、もっとも歴史が長く(社団法人化も各団体の中で最も早かった)、明治の「唱歌遊戯」以来だと語った。
 対する作家たちからのコメントとしては、加藤から地域から情報発信をすることで活動してきた日々が語られ、鍵田・佐藤からは民衆の踊りを盛んにしていきたいという作家が大切にしてきたモットーが語られた。さらに平多からは島田豊が、学校で児童舞踊をやることで同僚から嫉妬され、学校の教育者か児童舞踊家になるか迫られ児童舞踊家を選んだいきさつや、平多正於の思い出が語られた。
 芸術舞踊、中央のバレエやコンテンポラリーダンスがメディアで取り上げられることが多いが、日本の舞踊文化の様々な面を感じさせた一日だった。

(フロラシオン青山「クレール」)