同時代の踊り手パート2

 同時代の踊り手として現代舞踊、バレエの踊り手を論じたわけだが、コンテンポラリー・ダンスは世代が近いだけより精緻に書いた良いだろうということでパート3にまわしてフラメンコと邦舞についてごく簡単にまとめておこう。
 フラメンコではこの間の定期公演で踊っていた武田泉はうまい踊り手だが私より世代が上でもある。同世代というと、鈴木舞、鈴木千琴姉妹、屋良有子、東陽子、末木三四朗、そして工藤朋子といった面々がすぐに上がる。屋良と鈴木舞・千琴、工藤は豊かな表現力があるタイプの踊り手でこれからが楽しみだ。東と末木は力強い踊りが人気がある作家だ。背後にはフラメンコ・ブームも存在する。彼ら彼女たちの踊り方は戦後世代のフラメンコと比べると新しく表現も情報豊かな現代の踊りと思える部分もある。
 邦舞はそもそも新人といっても40代、50代という世界だ。機会が限られておりそんなに見ないのだが、花柳せいらの創作はいつも興味深い。また地唄舞の葛たか女はとても好きだ。背後にはメディアの状態が洋舞と異なるということがあり、邦舞・邦楽を扱う媒体はとても限られているのである。そのため、特に若い書き手はなかなか書ける機会がないジャンルだ。しかし古典も創作も見ていてとても面白い。戦前の舞踊批評家は両方を書いた書き手が多かった。現在より専門分化されていなかったというのもあるが、そもそも社会的に邦舞が洋舞よりメジャーだったのだ。