高部尚子、三木雄馬、永橋あゆみ

 目黒で谷桃子バレエ団の「古典と創作」をみた。今日の「眠れる森の美女」はロイヤル版を鈴木和子が改訂したものだ。オーロラ姫を永橋あゆみ、デジレ王子は三木雄馬が踊った。三木はこのところの伸びが楽しみな男性舞踊手の1人だ。永橋は佐多達枝の作品でも夏に踊っていたが、表現力と豊かな個性が印象的な踊り手だ。期待をされているその素材を活かしきるためには技術があと一歩あるとなお良い。どこか奥ゆかしい深みを感じさせる表情をもったバレリーナである。青い鳥とフロリナ王女を踊った下島功佐と緒方麻衣も注目を集めた。緒方は次世代の才能の1人だが見事な身体性と充実した演技でファンを大きく魅了した。クラシックでその才能を開花させる可能性がある。下島は古典でみるのは初めてかもしれないが、これからの部分が多いとはいえ存在感のある興味深い踊り手である。
 後半はピアソラのタンゴを用いた作品だ。高部尚子の円熟したテイストと充実したダンスに圧倒された。いうまでもなくこの踊り手は素晴らしいアーティストだが、客席から何度もでもみたい存在の1人である。


谷桃子バレエ団公演 創作バレエ・12「古典と創作」

「眠れる森の美女」オーロラ姫:永橋あゆみ、デジレ王子:三木雄馬、青い鳥とフロリナ王女:下島功佐・緒方麻衣
「タンゴジブル」高部尚子/伊藤範子/齊藤拓/依田久美子/樋口みのり/宮城文 他
(めぐろパーシモンホール