Weekend

東京シティバレエ団 ラフィネ・バレエコンサート
「雨の下の<私たち>」 振付:中島伸欣 ミストレス:吉沢真知子
After The Rain」 構成・振付:小林洋壱
「孤独のかたち Forms of Solitude」 振付:真島恵理 ミストレス:廣田あつ子
ティアラこうとう 大ホール)



gene 〜連綿とつながる記憶〜 gene A SEQUENCE OF MEMORIRES
映像×音楽×ダンスのSpecial Experience より石山雄三

 夜の六本木アリーナでライブパフォーマンスをみた。海外で良くあるようなライブアートのショーケースの感じでオーディエンスもくつろぎながら5月の夕暮れ時を楽しんでいるような感じだ。巨大なディスプレイが連ねられ、音響システムが並んでいるというシンプルなステージで石山雄三、上田創、そして渡辺理恵子が踊った。
 石山の振付は日常的だが現実世界の身振りを抽象化しているようにみえる要素がある。そんな石山と上田が演技を活かしながらダイナミックに身を走らせる。対する渡辺が石山の振付を吸収すると、まるで女性のアンドロイドのような無機質なトーンがその表情に生まれてくる。3人を包み込む黒一色のコスチュームはハードで近未来的な印象を観客にあたえていた。背後を積み上げられたディスプレイを流れる映像が盛り上げていく。最後はこの映像が四角い小さなBITになっていく。石山は流れるイメージに向けて頭を何度も打ちつけていく。ごくごくシンプルな映像効果と音響を使った短時間のステージだった。
 ごく短いパフォーマンスだが石山なりのメディアへの意識がよりクリアに振付や構成からみえてくると良いだろう。トータルなライヴアートとしてのステージとしてはいわゆる舞踊の舞台演出とは異なるポップで現代感あふれるものだ。ネットワークを視覚化してドームにプロジェクトしているメディアアートなどもすぐ横に展示されているのだから、周囲のメディアアートとのインタラクションはあっても良かった。メディアアートというとバリバリのCGというイメージがどうもあるのだが、実はLEDのようなシンプルな視覚表現も面白い効果を生みだしたりする。いろいろ詰め込んでいる印象が強い石山作品がこのようにシンプルになってきているのは興味深い傾向だ。インフラ整備がこれからの《東京》という環境の中でより日常的に市民にも近い距離でメディアパフォーマンスを立ち上げていくという意味では興味深い試みだ。70年代のパフォーマンスにおける市民と作家の距離を考えるのであれば参加型でインタラクティブな要素があっても良いようにも思った。

六本木ヒルズアリーナ)