11月のお勧めダンサー:幸内未帆さん

写真 (C) 石原直奈

11月のお勧めダンサー:幸内未帆さん

This month's dancer, Miho Konai:
She came back to TOKYO and has danced here.
Her movement is soft, but sharp.
Now, she dances with Atsuko Hirota and Akane Hakoda.
From this year on, she has started her unit,"NR6".

幸内未帆はスピード感あるシャープなムーブメントが印象的な踊り手である。その作品はモダンダンスの慣例化された空間構成とは一線を画する。同じアメリカンなスタイルを持つ同世代の作家達と比較してみると、90年代以後に台頭したコンテンポラリーダンスに構成やムーブメントが依拠していることがわかる。かといって、珍しいきのこや発条トのように演劇的なタッチで見せる作家でもない。ダンスならではといえる作品を見せる作家だ。
10月中旬の箱田あかねによる「風の見える場所」 2005 ネイキッド・ソウル anotherでは教会建築という演出の中で演技が空間に映えていた。小スペースのみならず中劇場以上の空間でも確かな実力を発揮するといえる。

Interview
 

Q.ダンサーになった経緯をお聞かせください。

大学受験の際にダンサーになろうと決意したように思います。
3歳から約2年間習ったバレエの楽しさを忘れられず、小学生時代は運動会のフォークダンスや体育の器械体操などに命をかけていました。中学でバレエを再び始め、中高ではダンス部、そしてジャズダンス、コンテンポラリーダンスと一気に今まで生きてしまいました。
よく考えると、バレリーナになりたかったのですが資質才能ともに恵まれず、ジャズダンサーになるにはユニゾンが嫌いで、消去法でコンテンポラリーに収まったようです。

Q.NYCに渡られた理由は?向こうではどんなことがありましたか?

理由は、ただNYCに憧れていたからです。丁度身体もガタガタなっていましたし、ジャズダンスでは何か発揮しきれていないストレスも感じていました。それで、勝手に留学手続きをしていまいました。
はじめは留学生という立場でしたから、クラスを受けまくりました。初めて触れるコンテンポラリーダンスを言葉も体格も違う人に混ざって勉強するのはとても自由で新鮮でした。結婚した頃から仕事も入り始め、多くの振付家の作品に出演することができました。また、自分の作品を作る活動もたっぷりしました。
オーディションにしても作品選考にしても、とにかく出向いて顔をあわせて話をする。狭いNYCの習慣が日本人の無名ダンサーでも沢山のチャンスを得ることができた理由だと思っています。


Q.日本に帰国して感じたことは?

東京は広いです。移動に時間がかかるから、電車で寝ている人が多いですね。起きていても携帯メールでお忙しい様子。遠くの相手ではなく目の前の人の顔も見えない。ダンスにしても、本当に楽しいですか?って聞きたくなることもたまにあります。その一方で、すごく繊細な日本(人)というのも再発見しました。華奢な身体と長い歴史に合った衣食住文化素晴らしいと思います。ダンスも同じだと思います。肉食的なパワーを失うことなく、草食的な繊細さを探していきたいと思っています。

Q.近い将来にやってみたいことがあれば是非お教えください。

やりたいことは山積みですが、敢えて1〜2年の間と限定すると、
自分は出演しないグループ作品(公演)作りと、
ソロ活動の再開、
日本人振付家の作品に出演すること。
この3項目は私の中ではひとつにつながっています。個人的な好みなのですが、自分と違ったタイプのダンサーに興味があります。ダンスのスタイルだけでなく、体格、年齢、環境など。そんな魅力ある人とダンスをつくり、考え、ともにダンスしたいと思っています。帰国ボケと産休が重なり、いよいよ本格的に始動しようとしています。これらもどうぞよろしくお願いします。

幸内未帆(こうないみほ)
プロフィール:
1999年早稲田大学第一文学部演劇専修学士過程修了。在学中より、オペラ、コンサー
トツアー、ミュージカルなどに出演。
2000年、コンテンポラリーダンスと振付に興味を持ち渡米。自身のカンパニーを結成
しグループ作品を創作するほか、ソロ作品も多数発表。それらはニューヨークを中心
に、セントマークス・チャーチ、DRAフェスティバル、d.u.m.b.o. ダンスフェスティ
バル、92nd ストリート・ワイ、デボーン・オーディトリウム等で上演され好評を得
る。また、ビル・ヤング、ショーン・カラン、オリバー・スティール、コリーン・トー
マス、ら多くの振付家の作品に出演。
2004年3月 拠点を東京に移す。廣田あつ子氏、箱田あかね氏、の作品に出演。
2005年夏、ダンサーズユニット「NR6」を結成。9月元麻布ギャラリーにて公演。
現在PASダンスの学校、IACスタジオ等でコンテンポラリーダンスを教える。



今後の公演情報と連絡先:

ニシエヒガシエ

11月22日14時〜
11月24日17時〜
クラウドナインスタジオ(小田急線、南武線 登戸駅 下車徒歩4分
入場1000円 会場は開演の15分前

「ダンスがみたい!」新人シリーズ
1月12日 神楽坂Die Pratze

どちらも新作のソロ「ふわふわLADYBUG」を上演。
11月はwork-in-progressの予定

ご質問お問い合わせは
mihokonai@hotmail.com
まで

写真 (C) 石原直奈