現代ダンスのいろいろ

  • 初期型「まだらなまだらインゲン豆が旅立つよ」


(リンクについてはカワムラアツノリ氏に承諾を得ている)
研究関連の日程と重なって取材に入れなかったのだが、さっそく公演の映像がYoutubeにアップされている。そんな時代である。
画像を用いるDigital Communityではマニアが多いバレエのコンテンツの配信が目覚しいが無数のダンス映像を見ることが出来る。
時折パフォーマンスやレアもの映像を見つけることが出来る。
公演をそもそもみていないので、この映像ファイル、すなわち映像コンテンツからのみ短評を書くことになる。こうなると、劇場でダンスを見る意味、そして劇場でないからダンスを楽しむ意味の2つの意味性がさらに問われてくるように思える。
カワムラの毒のあるユーモアとキャラクター性はこの公演では一層拡張されれてきたようだ。深見章代との作業の頃から注目していたが、この公演が面白かったというニュースはSNSでも飛び交っていた。もじもじ君のようなキャラクター、ウォーリーのようなカワムラ、といった面々がこの映像に登場する。笑いの感覚が、時折、大劇場で見るラコーナやRoussewaltzの笑いとダブるときがあり、その辺りが2000年代後半の現代文化の1つの地平なのだろう。スノッブに若干閉じたような笑いはオタク系のコミニュケーションを思わせる。コンテンポラリーダンスでは笑いがひねってひねって、もう誰が見ても解らないような、もはやなんでもないような作品も多い。バレエや現代舞踊の若手たちが大劇場で展開する笑いの場合、ひねるというよりは、ポピュラーさに落ち着く笑いが多い。後者の場合、機能をしていない時は、いまさらこんな落ちを見せられてもということを思うこともある。初期型の場合はこの2つの地点に落ち着かない、過剰なアグレッシブさを感じることが出来るのが1つの特色であるように思う。

という人形があるのを知っていたが、この間、大野慶人がいじっているこの人形をはじめて目撃した。なんらかの由緒がある人形なのだろうが、若干、海洋堂のキャラクターやオタク系のキャラともかぶっている感じで妙にきもおもしろかった。東洋的な儀礼を感じさせもしながら、同時にアキバ系にも通じるものがあるように思うのだ。西欧映画の中に出てくるようなサイボーグ、例えばフリッツ・ラングの映画に出てきそうなロボットには出来そうにない風情である。このテイストにはダナ・ハラウェイもびっくりといったところだろう。
慶人はいつも青い馬の頭のかぶりものを好んでパフォーマンスにつかっている。この馬の頭をかぶって踊る慶人もなかなか味わいがある。バックには「ウサギのダンス」がかかることが多い。
大野慶人のもう1つの隠れ技は「ウサギのダンス」だろう。この唄は童謡の名曲である、様々なダンサーが振付けている。なんとあの横田佳奈子も子どもたちのためにこの曲で振付た作品がある。余興などで見る機会があれば是非トライしてみるといいだろう。