福田一平氏の逝去を悼む

 福田一平先生が亡くなられた。批評活動を始めた頃から交流があった大先輩の一人だ。合田成男先生や木村英二先生とも同年代にあたる。邦舞・洋舞共に深い見識のある識者だった。若い頃は現代舞踊家で、本田安次や柳田国男に若き日に学んだこともある。そんな昔の日々のことを語ってくれることも多かった。現代において民俗芸能について論じることが出来る貴重な存在だった。なにかと一般人に解かり難くなりがちな方向性が多いのが前衛芸術だが、氏はアヴァンガルドにも造詣を持ちながら同時に大衆的で誰にでも解かりやすいものを大切にしていたのが印象的だった。風格のある才人で現代舞踊のみならず舞踊や経済・政治全般について議論を交わす事もあった。批評活動のみならず演出などでも晩年まで活躍をされていた。門下の舞踊家からは優れた才能を輩出している。
 出張先の札幌で一緒になったこと、推薦する民俗芸能をみせていただいたことなど思い出も多い。ついこの間も「江口・宮アーカイヴス」のレセプションで挨拶をされていたのが昨日のことのようだ。ここにご冥福をお祈り申し上げます。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/obituaries/CK2011090802000033.html