2030年ごろ

 20年後の舞踊界をイメージしていると表現の問題ではコンテンポラリーダンスという枠組みがもはや伝統の一部になっていて現代表現はさらに新しいフェーズに突入していると想定できますが、その一方で教育、体育、舞踊というキーワードでは国民の健康問題が労働力や人材開発といったジャンルとクローズアップされているだろうと考えられます。国内にいても国外にいても日本という大きなクラスターに関わっている以上は放射能による被害と健康という問題は長いスパンで考えていくことが求められます。またそういった社会問題と表現は関係を持っているでしょう。
 経済的には震災後に一度特需がくるとはいえ、その後に日本経済は本当の試練にさらされるということがいわれています。パフォーミングアーツでも影響があるとすれば、海外からの長期のレジデンスなどは関西や南日本が増えるであろうということは想定できます。研究や教育、国際交流では「日本外し」に対していかに海外に食い込んでいくかということが課題になってきます。3Dとソーシャルメディアについては、私は2006年ごろから手がけいち早く先鞭をつけることができましたが、3Dソーシャルメディアはインフラになっていることは必至です。グローバルな流れとまず最初に「閉じる」日本の俗称タテ社会・ヨコ社会とグローバルな流れの間のずれは(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20110802)存在しますが、このずれは「変わらない」日本社会が故に20年後も存在するのではないかと思ったりしています。だからこそ変えていく事も求められます。
2000年代の後半のまだ豊かだった時代には東京での国際会議も経済的に恵まれているという印象もありましたが(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20070715)、それからまた時代が変わったといえます。私は洋舞のみならず日本舞踊、伝統芸能も射程にいれることで次世代のダンスコンテンツについて国際的なネットワーク環境を駆使して実践的に活動をしてきました。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090501)またオンラインで成果を公開してきました。現場で得た知識とグローバルな社会、経済の流れの中で私もいくつか見えてくることはあります。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20110803)実践から得た実践知や暗黙知コンテンポラリーダンスという既存の枠組みに着地をさせないことが求められます。
 帝国劇場開幕から数えて洋舞100年目の節目に当たる2011年に日本は時代や社会が変わりました。コンテンポラリーダンスという現代表現の枠組みは最後のフェーズに入る一方で、さらにこれから20年で流れや枠組みが変わってきそうです。15年後、20年後の経済予測がではじめているので、イメージをしていると考えることが多いです。