10年代のダンス:Australia

 オーストラリアのダンスというと私は現地に仕事で行ったことがある事もあるため興味がつきないです。オーストラリア・ニュージーランド舞踊学会は私の最初の査読付論文を出してくれた学会であったりします。そういったことも時々のこのブログで触れてきました。演劇でもオーストラリア演劇は知られており専門書も出ていますが、古くは粉川哲夫さんがオーストラリアの演劇について興味深い論考を書いています。

遊歩都市―もうひとつのオーストラリア (1983年)

遊歩都市―もうひとつのオーストラリア (1983年)

 2004年にJapan Australia Dance Exchangeで日本に来日したカンパニーの中にChunky Moveというカンパニーがあったりします。向こうではある程度知られたEstablishされたカンパニーで、人によってはもっとワイルドなものが欲しいと私に言ったりする事もあります。しかし彼らのテクノロジーを使った空間演出はとても興味深いです。

近作「Mortal Engine」の映像です。正確には10年代直前の表現なのですが、向こうの作品の1つの傾向を示しています。


*一般チャンネルより引用


*一般チャンネルより引用

下の映像はその原点ともいえる作品「glow」でこの映像が出たときは話題になりました。


*一般チャンネルより引用

 優れた若手ダンサー・振付家も送り出しているようで、こういった作品で踊りながら自作を発表しだしているのが、向こうの20代のダンサーたちです。


*一般チャンネルより引用

 日本のコンテ・モダンの20代をリードするのは才能で潜在的なポテンシャルを秘めているアーティストは多いです。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20100321)彼らが送り出してくる作品を楽しみにしています。

 すでに大陸間でソーシャル・ウェブ・サービスによるネットワークやコミュニケーションが浸透し、網の目のようになっているわけです。それぞれの地域や国家のローカル・マーケットの傾向やローカル・ガバナンスは存在し、その一方でそれがさらに一層新しい形態にシフトしながら新しいガバナンスが次第に形成されてこようとしているような部分があります。
 情報や知識はすでに舞踊批評家レベルでBlogやTwitterといったソーシャル・ウェブ・サービス、Facebookのようなソーシャル・ネットワーク・サービスを利用していないと活動がおぼつかない状態になってきています。これからの10年は現場で新しい表現や研究・評論の方法論を構築することの意義が、さらに強くなる(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090516)と思います。

 コンテンツとしてのダンスについては、それぞれの地域や国家のローカルマーケットが存在するとはいえ、それぞれの国の規模が音楽や映画と比べてみてもまだ中規模といいきれない部分があるのは事実です。そうすると、これまでは海外にコンテンツとしてのダンスを発信するにしても、ネットワークといってもいわゆるオープンネットワークではなく、一定のプロデューサーの傾向や方向性でネットワークができているような要素が強かったです。しかしYoutubeのようなDigital Communityがそういったものを次第に緩和してしまう、むしろ作家レベルで作品映像をリリースできるようになっている状態なので、次の10年ではまた変化があるのではないかと思ったりもしています。

 日本の対外認識や文化イメージもあってオーストラリアのダンスというとあまりこれまで紹介されてこなかったわけですが、そんなこんなでいち早くこのように映像付で紹介できるわけで、時々このブログでも紹介できればと思ったりもしています。