from LA

KEN DANCE COMPANY FROM LOS ANGELES Spirited Astray "あさってへの扉"
 ロサンゼルスで活動をするグループの日本発公演。山口健二、宮本佳奈・出崎淳二らが踊った。バレエ・ジャズ・モダン・ストリートのそれぞれのジャンルの表現のクロスオーヴァーを狙っている。日本での公演が最初ということだが、西海岸のアートをストレートに持ってきた印象がある。グラフィティのようなペインティングを演出に用いながらダンサーたちが踊っていく作品や東洋的なイメージを用いたモダンベースの作品が続いていく。上三人のダンスはそれぞれ一定の水準はクリアしている。しかし全体として作中に出てくる象徴的な要素(鬼の面や原爆のキノコ雲)が見ている側には今一歩焦点を結ばないことからナラティヴな要素が機能せず今一歩クリアに見えてこないことが残念だ。ジャズの演出は日本の近年のスタイルとまた異なり興味深く思えた。作品から強い伝統を感じさせない・ストリートダンスにみられるようなクロスカルチャルな作風という意味では香港やオーストラリアのコンテンポラリーダンスに近い空気を持っているのだが、彼らのトップクラスの表現と比べるとまだまだ水準も求められこれからの研鑽に期待したいところだ。
(マチネ アトリエフォンティーヌ)