放蕩息子、ピーターラビット

熊川哲也 K-BALLET COMPANY Winter 2009
「バレエ ピーターラビットと仲間たち」
&「放蕩息子」Bunkamura20周年記念企画

 バランシンというと「セレナーデ」や「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」といった作品を思い起こす人が多いだろう。バレエ「放蕩息子」はバランシンの30年代の作品だ。この時代のバレエは日本にあまり入ってきていない時代の作品だが、ルオーの絵画、プロコフィエフの音楽ということで興味深く思っていた。聖書の寓話を題材にした物語である。特にサイレーン役の康村和恵がいい踊りを見せていた。
 一方、「ピーターラビットと仲間たち」は昨年話題を集めた「シルヴィア」などこちらも日本でポピュラーなアシュトンのコミカルなバレエ作品だ。ダンサーたちが着ぐるみをきて踊るのだが、バレエならではのマイムや演技が映える。中でも蛙の釣りのシーンの演技が心に残った。童心を失わない作品としても優れた内容だ。
 このバレエ団は熊川哲也が出演していなくても良い舞台を見せるようになってきたと思う。
(2月28日Bunkamura オーチャードホール