前田清実

ドラスティックダンス“O”
「Studious ATM〜ドラスティックな女達・COLORS」

 前田清実の公演を本当に久々に見た。「ATM〜ドラスティックな女達」は前田をはじめ3人のキャストがこれまでの人生を語るストーリー的作品だ。コミカルな仕上がりはよいのだが、もう少しダンスシーンがあったほうがよいかもしれない。楽しく盛り上がるというのがこのジャンルの要素なのだが焦点をフォーカスしたほうが良いかもしれない。続く「COLORS」は宝塚やジャズダンスの名倉にも通じるようなレビューというか、本当にスタンダードなジャズダンスだ。
 木佐貫邦子や武元賀寿子、黒沢美香らとアヴァンガルドを追及していた時代の前田のエピソードをきくことが多いが、近年では楽しいタッチのジャズダンスに回帰しているようだ。この辺りはジャズダンス出身のアーティストの1つの傾向であり難しいところでもある。ジャズダンスは批評家や研究者から見過ごされがちだが、ミュージカルや芸術舞踊との関係性など重要なコンテクストが幾つも存在する実は深い重要なジャンルである。
(草月会館)